「合同インタビュー」映画『貴公子』主演俳優キム・ソンホ スタイリッシュなスーツ姿は「ピーキー・ブラインダーズ」を参考に

4月12日(金)より新宿ピカデリーほか全国公開される、映画『貴公子』で主演を務めたキム・ソンホにインタビューを実施。本作は巨額の遺産を巡って繰り広げられる攻防戦を予測不能な展開で描いた韓国アクションのワールの傑作。インタビューでは、チャームポイントのえくぼのある笑顔を見せながら、映画に出演するきっかけや撮影中のエピソード、日本の印象などについて語ってくれた。

キム・ソンホは2009年に演劇「ニューボーイング・ボーイング」でデビューし、その後「メモリーインドリーム」(2019)、「ICE(原題)」(2021)、「タッチング・ザ・ボイド/運命を分けたザイル」(2022)といった演劇作品や、ドラマ「キム課長とソ理事 ~Bravo!Your Life~」(2017 KBS2)、「100 日の郎君様」(2018 tvN)などのTV シリーズに出演。着実に俳優としてのキャリアを重ね、2020 年のTV シリーズ「スタートアップ:夢の扉」、2021 年の「海街チャチャチャ」で国内外のファンを魅了し大ブレイク。デビュー15年目ではあるが、本作が映画デビュー作だ。完成された映画を初めて観た彼は、「スクリーンがあまりにも大きくて気恥ずかしい気持ちだった」と振り返る。

「今回の映画『貴公子』で映画デビューさせていただきました。スクリーンで僕の演技を初めて観たのは、映画館で観客の皆さんと一緒の時でした。最初はあまりにもスクリーンが大きいので、少し気恥ずかしい気持ちになり、正面から見られないようなそんな気分でした。2回目に観た時は、自分がこんなにも大きなスクリーンに出ることがとても不思議な気持ちがしました。そして周りの友だちからは、『初主演の映画としてはすごく本当に頑張った、これからもっと頑張れ』と言われました」。

映画とドラマの違いについて聞いてみると、彼は「映画は一編であり、ドラマの場合は何話も続いていくので、それが大きな違いだと思います。韓国では普通、ドラマは10話くらいの場合が多いのですが、撮影は時間との戦いというところが大きな要素を占めるのではないかと思います。でも、映画の場合は、より時間をたっぷりかけて、そのシーンについていろんなことを悩んで考えながら作り上げていくだけの時間的な余裕があります。その一つのシーンを作り上げるために、さまざまな会話をしながら、そして監督が望むような画を撮るために時間をかけて撮ります。以前はドラマと映画というジャンルにおいて、技術的な違いが大きくあったと聞いていたのですが、現在はカメラのテクニカル的なものの違いがなくなってきていると聞いています。ただ、違いがあるとすれば、時間的な余裕があるかどうかで、ドラマの場合は本当に時間のないなか急いで撮っていかなければならないので、なるべく撮影に入る前にキャラクターをしっかりと構築しておきます。早く引き出せるようにしておくことがドラマだとすれば、映画の場合は新たに時間をかけてじっくりと作り上げていく時間的余裕があって、僕にとってはとても興味深く、楽しみながら作業をすることができました」と振り返った。

銃撃戦、接近格闘、カーチェイスなど、一瞬も見逃せないアクションで観客を釘付けにしてしまう演出力を見せたのは、『新しき世界』『THE WITCH/魔女』で絶賛を集めたパク・フンジョン監督。キム・ソンホも『新しき世界』が大好きで、ノワール映画が持つカラーや雰囲気が好きだそうだ。映画の出演を決めた理由についても、パク・フンジョン監督のファンだったと語る。

「まず僕はパク・フンジョン監督のファンでした。特に『THE WITCH/魔女』という作品のアクションシーンは、本当にインパクトのあるもので忘れられません。『THE WITCH/魔女』を楽しく観た記憶があったので、パク・フンジョン監督にお会いした後すぐに『監督のアクションが最高です』と言いました。ですので、ぜひパク・フンジョン監督とはご一緒したいという気持ちがありましたし、実際にオファーをいただいた時は、心の中で『ついに僕が映画というジャンルに挑戦できるんだな』という喜びがありました。『しかも主演だなんて』って」。

キム・ソンホといえば、えくぼのある温かい笑顔が印象的だが、本作では不気味な笑顔を見せて周囲を華麗に翻弄する魅惑的かつユーモラスな“貴公子”を熱演。追跡する男たちの中でもとりわけ謎に包まれた人物で、善人なのか悪人なのか最後まではっきりとわからない、ベールに包まれている。役作りやパク・フンジョン監督からのディレクションについて聞いてみた。

「パク・フンジョン監督からはスタンリー・キューブリック監督の『時計じかけのオレンジ』を参考にしたらいいと言われました。その中でも主人公が悪いことだということを知らずに、その行為を楽しんでいる姿を参考にしたらいいと言われ、実際に参考にして演じました。あとパク・フンジョン監督から、清潔感がありすっきりとした狂気めいた人物がいいというディレクションをいただきました。パク・フンジョン監督の演出のトーンになるべく合わせていきたいと思いながら作っていきました」。

また、キャラクターについて自らアイディアを出すことがあったのかどうかを聞くと、彼は「アイディアというほどまでにはいきませんが、口笛を吹くシーンがあるのですが、それは即席で出てきたものです。あまりにも明るすぎず、かつ暗すぎないようにするために現場で出たアイディアでした。貴公子は台本の中に描かれた構築された人物像があったのですが、現場でも誰のアイディアなのかもわからなくなるくらいみんなで話し合いながら作り上げていきました」と語った。

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2024.04.10