4.判例によると、専属契約は高度の信頼関係をもとにしたもので、所属事務所が精算資料の提供義務を履行しない場合、芸能人は収益精算に関して検討し、所属事務所に異議を提起することができる専属契約上の権利をきちんと保障されなくなり、精算資料を提供しないことは、専属契約解除事由です。(ソウル高等裁判所2020.1.31宣告、2019ナ2034976判決参照)そしてこれまで代理人の弁護士を通じた数回にわたる要請にもかかわらず、すでにSMエンタが資料提供の義務を不履行したことにより、これまでの専属契約については解除事由が発生しました。
5.アーティストたちはこれまで数回にわたる内容証明を通じて、5月31日までに精算資料の写しを提供するよう要請したにもかかわらず、精算根拠を提供してこないことにより、やむを得ず6月1日付で専属契約を解除したことをSMエンタに対して通告するに至りました。
6.万一、SMエンタがアーティストたちに正しく精算金を支給していたなら、精算資料および精算根拠を提供できないなどの理由はないはずです。SMエンタがこのような精算資料および精算根拠を提供できていないという事実は結局、SMエンタがアーティストたちに精算金をきちんと支給しなかったという強力な反証であり、アーティストたちはSMエンタを相手に正しい精算内訳を調べるための精算金支給請求訴訟を含めた全ての民事・刑事上の法的措置を取る予定です。
7.またアーティストたち(BAEK HYUN、XIUMIN、CHEN)のケースのように、SMエンタ所属のアーティストたちにも精算資料および精算根拠を提供してこなかったのなら、これは単にBAEK HYUN、XIUMIN、CHENだけの問題ではなく、結局SMエンタのアーティスト全体の問題になる恐れがあります。
8.実際に、BAEK HYUN、XIUMIN、CHENが大企業であるSMエンタを相手に法的争訟をするということは非常に難しいことですが、多くのSMエンタ所属アーティストたちが抱いているいくつもの疑念を代わりに解決しようという気持ちと勇気を持って始めたものです。
2.不当な長期間の契約及び追加的な延長の試みに対するアーティストらの立場
1.これまでアーティストたちはSMエンタとの間でなんと12年から13年以上の専属契約を締結しています。これは公正取引委員会が告示した大衆文化芸術家(歌手中心)の標準専属契約書で契約期間7年を基準に定めたものともあまりにも差が大きく、最小限の合理的な程度を超過してアーティストたちに一方的に不利です。
2.すでにSMエンタは「東方神起」事件の仮処分決定で延長された期間を含む13年の契約期間について、上記契約は一方的な構造の超長期専属契約であり、SMエンタが優越した地位を利用して不当な支配力を行使し、申請者ら(東方神起のメンバーら)にとって過度な反対給付や不当な負担を負わせ、その経済的自由と基本権を過度に侵害する契約で、善良な風俗その他社会秩序に違反した事項を内容とする法律行為であり、その契約内容の全部または一部が無効や合理的存続期間の経過を理由に、その効力が消滅したと見る余地が相当あると判断されています(ソウル中央地裁2009.10.27, 2009カ号2869決定参照)。また、上記事件の仮処分異議事件で裁判所は改めて、申請者ら(東方神起のメンバーら)のように、青少年を主要ファン層とするアイドルスターが、同一の活動領域で30代以降まで既存の人気を継続することは非常に困難であり、不当に長期的な専属契約は当該芸能人からその特出した才能や芸能界で成功するまで不断に傾けた努力に対する適切な代価を取得する機会をはく奪し、事実上の終身契約と同じ機能を遂行する余地もあるという点も指摘しました(ソウル中央地裁2011.2.15.付2010カ号1245決定参照)。
3.このように従来の専属契約は、その期間が過度に長期で人格権を深刻に拘束するもので、独占規制および公正取引に関する法律第45条第1項第6号の「取引上の地位を不当に利用して相手方と取引する行為」に該当します。そして、これは同法施行令別表2の不公正取引行為の類型上、このような長期間の期間強制は上記別表の「利益提供強要」や「不利益提供(不利益となる取引条件の設定)」に該当します。
4.さらに、SMエンタはアーティストらにデビュー日基準で7年、そして海外活動をする場合に追加で3年を延長する専属契約を締結させました。ところが、韓国のK-POPアーティストらの場合、専属契約を締結してデビューする日まで少なくとも数か月、多くは数年間の時間が必要であり、また海外活動を当然の前提とします。さらにXIUMIN、CHENは最初から中国を主な舞台に活動することを計画したメンバーであるにもかかわらず、海外活動をする場合に3年を追加する専属契約は最初から専属契約日基準で10年以上の長期契約を強要させたのです。
5.一方、SMエンタは上記のように12年ないし13年の専属契約締結期間も足りず、アーティストらに再び後続専属契約書に捺印させて、それぞれ少なくとも17年または18年以上の契約期間を主張しようとしています。これはSMエンタがアーティストらに対して繰り返し極めて不当な横暴をおこなっていることです。
6.後続専属契約書の捺印過程でアーティストらは既存の専属契約に拘束された状況で、まともな交渉をすることができず、対等な地位で契約条件を定めたり、自分の希望を反映することが難しかったです。「東方神起」事件の仮処分異議事件でも裁判所は申請者ら(東方神起のメンバーら)が、SMエンタが提示した専属契約様式に受動的に署名したことだけでなく、SMエンタとの交渉などを通じて、契約書の内容を決定するのに関与しなかった事実、申請者ら(東方神起のメンバーら)としては合意に至らない場合に既存交渉を中断して、SMエンタ以外の他の芸能事務所と交渉することが可能であったはずなのに、そのような契約相手を選択する機会が保障されなかった点、したがって申請者ら(東方神起のメンバーら)とSMエンタとの間で本当の意味での交渉ができなかった点、申請者ら(東方神起のメンバー)が芸能人としての地位を構築した後に延長契約である付属合意がなされたとしても、既に既存専属契約に拘束されている申請者らとしては高まった地位を交渉力強化に結び付けることができなかった点などを指摘し、後続契約は交渉力の違いから欠陥ある不公正な契約締結だと判断しました(ソウル中央地裁2011.2.15付2010カ号1245決定参照)。
7.またこのような後続専属契約書締結行為も独占規制および公正取引に関する法律第45条第1項第6号の「取引上の地位を不当に利用し、相手と取引する行為」に該当すると指摘します。このように後続専属契約を利用した長期間の期間強制は同法施行令別表2の「利益提供強要」や「不利益提供(不利益になる取引条件の設定)」に別途で該当すると見ています。
8..またこのように長期間の専属契約はBAEK HYUN、XIUMIN、CHENだけでなく、SMエンタ所属の大部分のアーティストたちも似たような境遇だと聞いています。
9.このように長期間のこれまでの専属契約および後続専属契約書の締結行為に対して、BAEK HYUN、XIUMIN、CHENは公正取引委員会に対して提訴する案を深刻に検討しています。
3.ファンの皆さんにお伝えしたいこと
1.今回のことでファンの皆さんに多大な迷惑をかけてしまい申し訳なく、恐縮の気持ちを禁じる道はありません。
2.SMエンタとの立場の違によってやむを得ず法的対応を進める状況ですが、ファンの方が心配しないよう賢い方法を探して紛争をうまく解決できるように最善を尽くします。
3.これまでお話しできなかった不当な内容について、ようやく小さな声を出そうという僕たちは実際に今、この瞬間が非常に怖くて恐ろしくもあります。
4.僕たちが申し上げたことや僕たちの勇気にどうか関心を持っていただけることを希望します。改めて僕たちを長い間、応援してくださるファンの方に心より感謝申し上げます。
2023.6.1
法務法人リン
担当弁護士イ・ジェハク
WOW!Korea提供