映画「すずめの戸締まり」、新海誠監督…場所を哀悼するという発想から出発


映画「すずめの戸締まり」(監督 新海誠)が、第73回ベルリン国際映画祭コンペティション部門に招待され全世界的な関心を受けている。3月8日に韓国での公開を控える中、新海誠監督が「すずめの戸締まり」を誕生させたその背景と製作ビハインドを語った。

映画「すずめの戸締まり」で韓国の観客に会う準備を終えた新海誠監督と製作陣が、映画の誕生背景と製作ビハインドを公開しその内容に注目が集まった。「すずめの戸締まり」は、偶然にも災いを呼ぶ扉を開けることになってしまった少女“すずめ”が、日本各地で発生する災いを防ぐために懸命に扉を閉めていくという物語だ。


新海誠監督は「すずめの戸締まり」が“場所を哀悼する物語”から出発したと話した。場所を哀悼するというのは、人間ではなく場所のために悲しみ、慰労するという発想だ。実際に災害や人口減少で消え失せてしまった場所に対し新海誠監督は「捨てられて放置された物寂しい風景から強烈なインスピレーションを受けた。人間が去る時のように場所を離れる時にも哀悼を表現したい」と伝えた。特にこのような現象は日本だけではなく、韓国や世界の国々で起こっている事であるが故に、世代を問わず多くの人々の共感を呼ぶであろうと展望されている。また新海誠監督は、主人公の“すずめ”の旅を通じて、絶望だけではなく希望を込めている。劇中で“すずめ”が旅をする場所の数々は過去に災害を被った場所である。その場所から災害を克服し、日常を生き返らせる人々と出逢い、温かな感情を覚えることになる。新海誠監督は「どんな傷に直面すれば克服ができるのかという事を描き出したかった」と説明した。

特に「すずめの戸締まり」はこれまでの前作品らとは異なった大きな試みに出ている。「君の名は。」、「天気の子」とは違い劇中に歌がない。これは物語の力だけで勝負をしようと選択した方法だと話す。劇中に歌をなくした代わりに、BGMに多くの総力を懸けた。そのためこれまで新海誠監督とタッグを組んできた「RADWIMPS」は勿論のこと、ハリウッド映画音楽を多数取扱ってきた陣内一真が合流し、より迫力溢れるサウンドを完成させた。今回の曲の中の一部は、英国ロンドンにあるAbbey Road Studioで収録されたが、新海誠監督の作品で海外レコーディングをするのはこれが初めてのことだ。そこに予告編と映画エンドクレジット部分に流れる主題曲「すずめ」は、歌手の十明(とあか)がボーカルを務め繊細な感情を送る。「RADWIMPS」の野田洋次郎は十明(とあか)に対し「 “すずめ”と十明の間には、他の誰にも踏み込めないような繋がれた距離を感じます」と劇の魅力として話す。最後に新海誠監督は、これまで取扱ってきた1.78:1スクリーン比から2.35:1のシネマスコープ比率を選択した。光の魔術師と呼ばれる新海誠監督であるだけに旅路を通じて見せる多彩で広闊な風景の数々を、より一層生々しく表現し映画の感動を倍増させる展望だ。


特別な物語の誕生背景と製作ビハインドを公開した映画「すずめの戸締まり」は、3月8日、韓国の劇場で公開される。

WOW!Korea提供

2023.02.21