そして、「これまでの作品と異なりロマンティックなラブストーリーを描きたいと思った理由を教えてください」との質問をされると「私の作ってきたこれまでの映画もロマン主義的なラブストーリーだと思っています。今までの作品は暴力的なシーンや、エロティックなシーンの印象が強く、愛の話が見えづらかったのかもしれません。今回の映画で私が『今回もまた愛の物語で戻ってきました』と挨拶すると皆さん笑うんです。自分の中ではより直接的に愛のストーリーだということを見せたくてこの映画を作りました。だから私は、これまでとは新たにして愛のストーリーを映画にしたわけではなく、今まで入れてきた要素を入れなかったのです」と今までのイメージを覆す本作に込めた思いを述べた。
さらに「本作ではスマートフォンやスマートウォッチなどのハイテクデバイスが効果的に使われていますが、これは最初から思いついていたのですか?それとも脚本を組み立てる上で物語に盛り込んでいくのでしょうか?」との質問には、「最初に書いた脚本を読み返してみた時に、『これは大変なことになった』と思いました。劇中でスマートフォンからメッセージを送るシーンがとても多かったのでどうしたら避けることができるだろうかと考えたのですが、すぐに諦めました」と明かし、「現代を暮らす人々の生活を描くからには避けては通れないと思ったからです。個人的には、できればフィルムカメラや旧式のテープレコーダー、紙の資料などを劇中で使いたいと思うこともあるのですが、もしそういう映画を作ったら、観客の皆さんは『なんだこれは、変だな』とむしろ不自然さを感じると思います。私はこの映画を作るにあたって、決して旧式な映画にしたくはなく、現代の皆さんが共感できる映画を作りたいと思いました。現実の世界でこれらのデバイスを使っているのは事実なのでそれをそのまま使おうと考えました」と語った。さらに、「デジタルは冷たいと感じるかもしれませんが、必ずしもそうではないと思います。私たちはスマートフォンをまるで手の一部であるかのようにいつも握って何かをしています。そして、自分が送ったメッセージを相手が今読んでいる、ということまでわかります。機械的な冷たさというものではなく、相手もきっと手の一部になっているような、相手の手を握っているような感覚にもなりうるというように思いました。物理的に2人が離れていても、メッセージを通してあたかもすぐそばにいるかのように、まるで相手と向き合っているような感覚になるような効果が得られると思いました」とも語り、「こういったデバイスを使うことが避けられないのなら、どうせならたくさん使ってより上手く効果的に使用しようと思ったのです。通訳アプリは、脚本の最後の段階で入れ込みました」と回答した。
最後にパク監督は、「この映画を観たたくさんの方々が『この映画は2回以上観るとより面白い』とおっしゃってくれています。1回目は主人公へジュンの観点から、2回目はヒロインのソレの観点から見てみるとまた別の楽しみ方があると言ってくれています。皆さんもそのように感じていただけるかはわかりませんが、そういう風な口コミが広がっているということをお伝えさせていただきたいと思います(笑)」とユーモアも交えて日本の観客に呼び掛けた。
《 映画『別れる決心』ジャパンプレミア 概要 》
◆日 時:12月27日(火) 21:05〜21:35
◆場 所:スペースFS汐留(港区東新橋1-1-16 汐留FSビル3F)
◆登壇者:パク・チャヌク監督
<STORY>
男が山頂から転落死した事件を追う刑事ヘジュン(パク・ヘイル)と、被害者の妻ソレ(タン・ウェイ)は捜査中に出会った。
取り調べが進む中で、お互いの視線は交差し、それぞれの胸に言葉にならない感情が湧き上がってくる。いつしか刑事ヘジュンはソレに惹かれ、彼女もまたへジュンに特別な想いを抱き始める。やがて捜査の糸口が見つかり、事件は解決したかに思えた。
しかし、それは相手への想いと疑惑が渦巻く“愛の迷路”のはじまりだった……。
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『別れる決心』
監督:パク・チャヌク 脚本:チョン・ソギョン、パク・チャヌク
出演:パク・ヘイル、タン・ウェイ、イ・ジョンヒョン、コ・ギョンピョ
提供:ハピネットファントム・スタジオ、WOWOW 配給:ハピネットファントム・スタジオ
原題:헤어질 결심|2022年|韓国映画|シネマスコープ|上映時間:138分|映画の区分:G
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2023年2月17日(金)TOHOシネマズ 日比谷ほか全国ロードショー