「イベントレポ」「ベイビー・ブローカー」是枝監督恒例ティーチインでファンからの質問を語りつくす!「イ・ジウンさんは、声が良いんだよなぁ…」撮影の裏話から来日時のキャストとのエピソードまで!

また、ペ・ドゥナが演じた刑事が、劇中で映画『マグノリア』(ポール・トーマス・アンダーソン監督)で使われていたエイミー・マンの曲を聴いて、夫に電話をするシーンについて、なぜこの曲を使ったのか? という質問も。

是枝監督は「よかったでしょ(笑)? あんまり理屈じゃないんですけど、彼女が一番落ち込んだ時、音楽をかけたいと思ったんです。(夫が)映画の前半に出てきたときは、信頼関係はありつつも、軽くあしらうんですけど、その相手にもう一度、電話をかける――電話口の相手に音楽を聴かせるために、車の窓から手を出すというのがやりたかったんです。それが先にあって、じゃあ何を聴かせようか?となったんですが、(ペ・ドゥナに)事前に渡したプロフィールには、2人が大学時代に付き合い始めて、観に行った映画が『マグノリア』とは書いてました。僕の書いた手紙やプロフィールを咀嚼して、お芝居に反映するということを、ペ・ドゥナさんが一番強く出してくれて、ハッキリとはわからないけど『2人で観たんだろうな』とか『この夫婦、どんなつながりや過去があったのか?』と想像させてくれて、とても好きなシーンです」と明かした。

また、もし再び韓国の俳優で映画を作るとなったら、誰と撮りたいか? という「コン・ユが好き」という女性からの質問に、是枝監督は「いいよね、コン・ユ」とニッコリ。そして「撮影前にペ・ドゥナさんの『静かなる海』の現場に陣中見舞いに行ったら、コン・ユがいて、一緒に写真を撮りました」と明かし、笑いを誘った。さらに、改めて韓国での映画制作について「映画を作る現場としては豊かで貴重な経験でした。続けてまた韓国で……という流れにはなりにくいですが、魅力的な撮りたい俳優さんはたくさんいるので、またチャンスがあればぜひ撮りたいです」と語った。

あっというまに予定の30分が過ぎてしまったが、是枝監督は「またどこかでやりたいと思います。配信ドラマも作ってますが…(笑)、『映画は映画館で!』と強く言いたいので、ぜひ劇場にまた足を運んでください」と呼びかけ、ティーチインは幕を閉じた。

ストーリー 赤ちゃんを高く売る、ただそれだけのはずだった…
古びたクリーニング店を営みながらも借金に追われるサンヒョン(ソン・ガンホ)と、〈赤ちゃんポスト〉がある施設で働く児童養護施設出身のドンス(カン・ドンウォン)。ある土砂降りの雨の晩、彼らは若い女ソヨン(イ・ジウン)が〈赤ちゃんポスト〉に預けた赤ん坊をこっそりと連れ去る。彼らの裏稼業は、ベイビー・ブローカーだ。しかし、翌日思い直して戻ってきたソヨンが、赤ん坊が居ないことに気づき警察に通報しようとしたため、2人は仕方なく白状する。「赤ちゃんを大切に育ててくれる家族を見つけようとした」という言い訳にあきれるソヨンだが、成り行きから彼らと共に養父母探しの旅に出ることに。一方、彼らを検挙するためずっと尾行していた刑事スジン(ぺ・ドゥナ)と後輩のイ刑事(イ・ジュヨン)は、是が非でも現行犯で逮捕しようと、静かに後を追っていくが…。
〈赤ちゃんポスト〉で出会った彼らの、特別な旅が始まる―。

■監督・脚本・編集:是枝裕和   ■出演:ソン・ガンホ  カン・ドンウォン  ペ・ドゥナ イ・ジウン イ・ジュヨン
■製作:CJ ENM ■制作:ZIP CINEMA  ■制作協力:分福  ■提供:ギャガ、フジテレビジョン、AOI Pro.  ■配給:ギャガ

 大ヒット公開中!

関連記事

2022.07.08