【韓国映画特集】『ベイビー・ブローカー』を観ると再び『マイ・ディア・ミスター』が観たくなる

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是枝裕和監督の新作映画『ベイビー・ブローカー』が注目を浴びている。主演のソン・ガンホをはじめ贅沢なキャスティングも話題だ。中でもイ・ジウン(IU)が素晴らしい。『ベイビー・ブローカー』を観るとイ・ジウン(IU)主演の『マイ・ディア・ミスター』を再び観たくなる。

 

数多くの著名人が絶賛
『マイ・ディア・ミスター~私のおじさん~』(以下『マイ・ディア・ミスター』)は、不遇な人生を生きている若い女性と人生の重さに耐えながら生きている中年男性が出会い、お互いの人生を癒やしていくヒューマンドラマだ。是枝監督がこの作品を見て『ベイビー・ブローカー』にイ・ジウン(IU)を起用したほどの名作である。
『マイ・ディア・ミスター』は2018年に韓国で放送されたドラマ。第55回百想芸術大賞でTV部門作品賞と脚本賞を受賞し、放送から4年が経過したにも関わらず、2022年3月に初の台本集が発売されるなど未だに話題性のある作品だ。


一般的にドラマを視聴する層は女性が大半だとされる。しかし、本作は女性だけでなく男性視聴者がかなり多い。日本国内でも作詞家・松本隆氏や作曲家でありピアニストの坂本龍一氏など数多くの著名人が本作を絶賛している。
坂本龍一氏は2021年に自身のラジオ番組で本作を絶賛し、ソンディアの歌う主題歌「大人」を番組内で紹介した。先だって発売された台本集にも坂本龍一氏の推薦文が掲載されている。

本作は原題が『私のおじさん』というだけあって、主役は”おじさん”である。人生の重さに耐えながら生きているおじさん三兄弟が主役だ。彼らが不遇な人生を生きてきた若い女性と出会い、お互いを癒しながら前を向いていく。
世の”おじさん”には、「少年のような純粋さ」と「生きながら身に着けた鋭さ」がある。そして「人に対する本能的な優しさ」もある。
私たちが忘れかけていた「人間としての魅力」を見せてくれる劇中のおじさんたち。そんなおじさんたちによって「よい大人とはどうあるべきか」と突き付けられる。


『マイ・ディア・ミスター』のファンだと自称する是枝監督の作品には、光の当たらない場所で必死に生きる人々の姿を描くものが多い。「家族」や「子供」をモチーフにした作品で是枝監督は愛を持って私たちに訴えかける。今作の『ベイビー・ブローカー』もまさしくそうだ。
前述したように『マイ・ディア・ミスター』を見て『ベイビー・ブローカー』の主演にイ・ジウン(IU)を抜擢した是枝監督。演じたイ・ジウン(IU)もインタビューの中で「演じながら両作品の主人公が重なった」と述べている。両作品を視聴した人にはイ・ジウン(IU)のこの感覚がわかるはずだ。

『マイ・ディア・ミスター』を手掛けたキム・ウォンソク監督も劇中で是枝監督作品『誰も知らない』について触れている。『マイ・ディア・ミスター』と多くの是枝監督作品には相通ずるものがあるような気がしてならない。
だから『ベイビー・ブローカー』を観ると、再び『マイ・ディア・ミスター』を観たくなるのだ。

文=朋 道佳(とも みちか)

 

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コラム提供:ロコレ

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2022.06.29