「コラム」康熙奉(カン・ヒボン)のオンジェナ韓流Vol.209「ナム・ジュヒョクの演技が良かった」

ネットフリックスで同時配信されていた韓国tvNドラマ『二十五、二十一』は、ナム・ジュヒョクとキム・テリの主役コンビが本当にすばらしかったが、今回は特にナム・ジュヒョクにスポットを当ててみよう。
画像提供=tvN

哀愁に満ちた表情

ナム・ジュヒョクが『二十五、二十一』で演じたペク・イジンは、ドラマを通して苦境を乗り越えて成長していく。
最初の舞台は1998年の経済危機の真っ最中。富豪だった父親が破産してしまい、ペク・イジンはアルバイトを掛け持ちして弟の面倒も見ていた。
支えになったのが、キム・テリの演じたナ・ヒドだ。ペク・イジンが借金取りに謝罪を繰り返す場面を見てしまったナ・ヒドは、「私といるときだけは幸せになろう」とペク・イジンを励ました。
そういう場面で見せるナム・ジュヒョクの哀愁に満ちた表情は本当に抒情性があり、多くのファンの心をときめかせた。
やがてペク・イジンはテレビ局のスポーツ記者となり、フェンシング競技で活躍するナ・ヒドを担当することになった。
しかし、選手と記者の距離感を適切に保つことがとても難しかった。その点でペク・イジンは苦悩する。

心地よい感性
コ・ユリム(キム・ジヨン)が家庭の経済問題から国籍をロシアに変更したとき、ペク・イジンは記者の本分に徹していち早く報道した。
しかし、周囲の人たちを傷つけてしまう。
こういう緊迫した場面で見せるペク・イジンの哀しみの表情は、本当に胸にジーンとしみこみ、忘れられない余韻を残した。
何よりも、ナム・ジュヒョクの素顔には、底抜けの明るさはない。いつも、どこか恥じらいがある。そこが、無邪気なナ・ヒドを天真爛漫に演じていたキム・テリとの大きな違いであった。
しかし、違いがあるから、組み合わせが際立つのである。
ナム・ジュヒョクとキム・テリの呼吸の合わせ方は、画面を通して心地よい感性として伝わってきた。
それゆえ、『二十五、二十一』をずっと見ていても、どこか景色のいい世界を眺めているかのような気分になれたのだろう。
ドラマもノスタルジックな展開だった。その中でナム・ジュヒョクは最高のキャラクターを演じきったのである。

文=康 熙奉(カン・ヒボン)

2022.04.02