テレビ東京で平日の朝に放送されている韓流プレミアでは、『トンイ』が放送されている。10年前に韓国で放送された時代劇で日本でも何度も再放送になっているが、いまだに大変な人気を誇っている。
美貌が評判になった
現在のテレビ東京で放送中の『トンイ』では、序盤のドラマが描かれているが、90%以上はフィクションで史実がほとんど出てこない。
そこでドラマで描かれていない「粛宗(スクチョン)と張禧嬪(チャン・ヒビン)の出会い」を歴史的な事実として紹介しよう。
1680年の秋、19代王・粛宗が見初めたのが、張玉貞(チャン・オクチョン)という女性だった。
それは、後世の人たちが“朝鮮王朝時代の悪女の典型”と評した張禧嬪の若き日の姿だった。
この年には粛宗の最初の正妻だった仁敬(インギョン)王后が亡くなっているが、粛宗の心はすでに張玉貞しか見えていなかった。
張玉貞は1659年に生まれたと伝えられている。女官として宮中に入ってくると、その美貌がたちまち評判となって粛宗の目にとまった。粛宗が19歳で、張玉貞が21歳のときだった。
粛宗の母であった明聖(ミョンソン)王后は、張玉貞の美貌に隠された野心を見逃さなかった。
「あの女は何か良からぬことを考えている。宮中にこのままいさせてはならぬ」
明聖王后は、粛宗が張玉貞に心を奪われていることが我慢できなかった。
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