ロックバンドFTISLANDが、今年日本初のライブツアーとなる「FTISLAND ZEPP TOUR 2023 ~ROUTE23~」を開催。4月25日のZepp Osaka Baysideを皮切りに、Zepp Nagoya、KT Zepp Yokohamaを回り、6月4日の東京ガーデンシアターで4都市7公演のツアーファイナルを迎えた。
FTISLANDは、イ・ホンギ(Main Vocal)、イ・ジェジン(Bass & Vocal)、チェ・ミンファン(Drums)からなる韓国出身のロックバンド。メンバーの入隊に伴い、2019年末から活動を休止していたが、除隊後もコロナ禍の渡航制限に阻まれ、なかなか来日が叶わなかった。制限が緩和された2022年7月に2年10ヶ月ぶりの来日イベント「FTISLAND FANMEETING 2022 ~WELCOME~」を開催して日本活動を再開。9月に19枚目となるシングル「DOOR」をリリースし、10月には、日本武道館2Daysを含む約3年ぶりのツアー「FTISLAND AUTUMN TOUR 2022 ~DOOR~」を開催し、完全復活を見せつけた。
メジャーデビュー以降、武道館やアリーナでツアーを行ってきたが、「ファンの皆さんともっと距離の近い会場でライブをやりたい!」というメンバーたちの意向を反映して、声出し解禁後初のツアーの場にライブハウスを選んだ。東京のみホールとなったが、ライブハウスの勢いそのままに、3人は東京ガーデンシアターでのツアーファイナルに臨んだ。
開演前からBGMとして流されていたライブ音源に併せて、会場のファンは待ちきれず手拍子を始める。登場のSEの音と共に「ワー!」という歓声とスタンディングオベーションでメンバーたちを迎えた。ホンギは「Hey,Yo,TOKYO!」と挨拶すると、「いけー!」と叫んで、13年前の5月にリリースした彼らの原点ともいえる日本メジャーデビュー曲「Flower Rock」でライブをスタートさせると、ファンもサビを大きな声で歌い、会場はたちまち一体感に包まれた。東京ガーデンシアターはこれまでのZeppよりも広いステージだが、ホンギはステージの端から端まで走り回り、アリーナから3階のバルコニー席まで指をさす。ドラムのミンファンはニコニコの笑顔でタイトなリズムを刻み、ベースのジェジンはホンギに負けじとフロントに出てファンを煽る。4曲目の「SATISFACTION」まで一気に駆け抜けると、ホンギが「もうちょっと熱くなろうか?」とMCを飛ばして、さらに盛り上がる「FREEDOM」になだれ込む。「Say FREEDOM!ジャンプしようぜ!」というホンギの声に応えて、会場中がジャンプで揺れる。そしてホンギが最前列のファンのタオルを借りて振り回し、ファンと一緒に大ジャンプ。ここまでくると、「楽しい」のるつぼだ。昨秋のツアーではファンにレスポンスを求めて「あ、声が出せないんだった」と焦るホンギが多々見られたが、ようやくファンと一緒に盛り上がる、本来のFTISLANDのライブが帰ってきたと実感できた。
MCでは、ジェジンが「みんなの声がきけて、今回のツアーには感謝です。僕らも楽しんでいます。最後まで、一緒にライブを作っていきましょう!」と言うと、ミンファンも「ツアー前は不安も緊張もあったけれど、各地を回りながら、メンバーを好きな気持ちが増しました! 仲良く次の作品も作っているし、次のツアーの話もしています。ライブができて、みんなの声が聴けて、幸せです。今まで頑張ってきた時間を皆さんに見せられてよかったです」と話す。そして、「(ライブのない日に)ホンギに会いたくなって電話するんだけれど、出てくれなくて……」と寂しい気持ちを吐露すると、ホンギは「夜中の3時、4時に電話きても、寝てる!」とツッコみファンを笑わせた。そしてホンギはサングラスをかけ、「DVDの収録が入っているのでカッコつけてみました(笑)。今回のツアーは、みんなとZeppで会えて、声がきけて嬉しかったです」と喜びを伝えると、大きな拍手が沸き起こった。
MCの後は、ファンと一緒に歌を楽しむセクションに。切ないバラード「In the Room」では、バックに流れるアニメーションの映像にシンクロするように、ステージ上に小さな照明が灯り、暖かな雰囲気の中、ホンギとジェジンのハーモニーと、ファンの歌声が会場を包み込む。友人でもあるONE OK ROCKのTakaとホンギが共作した「Primavera」では、ファンがサビのコーラスをシンガロングして楽曲を彩った。
「今回のセットリストには、昔の曲から最近の曲まで入っている。最近、僕らがやっていたハードロックじゃなくてもみんなと遊べるし、歌える。俺らの曲ってジャンル広いな。自慢です(笑)みんなが聴いてくれるからいろいろなチャレンジができる」とホンギが感謝を伝えると、ジェジンも「昔は忙しいと、休みたいと思った。でも、軍隊に入ったりコロナがあったりしてみんなと会えなくなって、気持ちが変わりました。今は、すごく幸せです。メンバーは、酒も飲まずに頑張っています(笑)」と笑いを交えて心境を伝えると、「ホンギも、ダイエット頑張ってるし!」と付け加え、ホンギの「ツアー中に4キロやせました!」という報告に会場から拍手が起こった。ミンファンは「Zeppは客席が近いから、皆さんの顔がよく見えるし、皆さんからも僕がよく見えるので恥ずかしい」と告白。これまでよりもドラムの位置が前に出てより客席が近くなったミンファンに、ホンギとジェジンは、「次は客席に行く?」とはやし立てた。そしてホンギが「忙しくても、ライブしてると楽しい。俺らってライブが一番好き!」と言うと、ボーカリストとしてのホンギの力量が見られる「Pretty Girl」、「Go Again」、「Shinin' On」を続けた。
ホンギが「そろそろ1部(本編)の最後」と言うと、会場から「えーー」と、惜しむ声。「わかる、俺も寂しい」とその声に応えるホンギは、「今回は、いつもより短いツアーだったけれど、ここからがスタートだと思っています。今、日本と韓国の新しい作品を作っているし、遊べる時間はどんどん増えている。60代まで遊びたい!」と激白。会場から大きな歓声が上がると、ホンギが「俺らよりお姉ちゃんは?」、「タメは?」、「年下は?」と年齢確認をすると、「どこで俺らの事を知ったの?」と年下ファンの増加に驚くと、会場からは「オッパ―!(お兄さん)」という声がさまざまな場所から上った。
ホンギの「せーの」という掛け声に会場が「いくぞー!」と応えて、彼らが入隊前にファンへのプレゼントとして制作した「Sunrise Yellow」からラストスパートに突入。アップテンポの楽曲でテンションを上げていき、「AQUA」では、会場中がコーラスをシンガロングして再び一体感を高めると、ホンギはその声を浴びて歌に熱を込め、「Hourglass」から「Stay what you are」へ。FTISLANDの奏でるロックに心も身体も飲み込まれていくのを感じた。
アンコールは全員がツアーTシャツに着替えて、爽やかで壮大な雰囲気の最新曲「DOOR」からスタート。ホンギはイタズラな笑顔を浮かべて、両手を大きく拡げてファンの歌声を受け止めた。
ホンギは「去年出した「DOOR」をやっと皆さんと歌えた。僕らはアジアツアーをしながら、ミュージカルをしながら、日本でツアーをやっていました。体力が心配だったけれど、ようやくライブができるようになったから、“やりたい!”と言ったんです。さっき歌った「Hourglass」の歌詞に<変わってく時代>という歌詞があるけれど、俺らも30代になった。時間が過ぎるのは早いけれど、みんなと歌ったり遊んだり人生の話をして、年をとってもずっとライブをしていきたい。コロナでできなかったこと……、みんなの声がきけて、ライブができて、アルバムも出せるようになったことに感謝しています。今回のツアーでライブが大好きってことを実感しました。忘れずにいるべきだって。日本語の勉強も3人でやってます」と話し、最近学んだ単語の「磨くと拭くの違いがよくわからない」と言うと、ジェジンが「何回も繰り返すのが磨くだよね。自分を磨く……とか。ずっとアーティストとして高い理想を追い求めてきたけれど、最近は一歩一歩自分の目標を叶えていくのが大事だって思うようになりました。メンバーたちと話し合いながらいろいろやって、そう感じるようになった。これからも頑張っているFTを見せるために頑張るので、楽しみにしていてください。FTを磨く!」と学びの成果を発揮した。
MCでミンファンの髪色と、ホンギの白いエクステが、日本の新曲MV撮影のためだと明かすと、ホンギがリズミカルな新曲をアカペラで1フレーズ披露。そして今回のツアーでFTメンバーがさらに仲良くなった。メンバーとの関係、皆さんとの関係を磨くための曲。みんなで歌えるところもあるよ!」と期待を高めた。
ファイナルのこの日は、Wアンコールとして「Orange Days」も熱唱。「ツアーお疲れさまでした! 今回は新曲なしでツアーを回ったけれど、めちゃくちゃ楽しかったです。みんなの力をもらって、これからもFTISLANDを磨いていきたいと思います」と言うホンギ。最後に3人で繋いだ手を高く上げて、深く頭を下げた。
今後の日本でのFTISLANDは、7月8日、9日にFTISLAND、CNBLUE、N.Flying、Hi-Fi Un!cornら事務所のバンドが総登場するフェス『FNC BAND KINGDOM 2023』(幕張メッセ幕張イベントホール)に出演。また、ボーカルのホンギは日本のデビューサバイバル番組『PRODUCE 101 JAPAN SEASON3』にボーカルトレーナーとして参加することが決定している。新曲の詳細は今後、公式サイトで発表の予定。新作が楽しみだ。
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