「コラム」康熙奉(カン・ヒボン)のオンジェナ韓流Vol.251「佳境に入った『愛と、利と』」

韓国JTBCで放送中の『愛と、利と』が終盤に入ってますます面白くなっている。主演のユ・ヨンソクとムン・ガヨンが緊迫したラブロマンスを演じている。日本でもNetflixで配信中だ。
画像=JTBC

主人公の2人

『愛と、利と』に登場するメインの4人が興味深い。それぞれ、韓国社会を象徴するような人物設定になっているからだ。
ユ・ヨンソクが演じる銀行支店の係長ハ・サンス。誠実な性格で信頼できる銀行員だ。趣味はアイスホッケーである。
彼は将来有望な立場にいるが、ムン・ガヨンが扮する窓口係のアン・スヨンに好意を持ち、交際を申し込む。
そのアン・スヨンは、仕事に関して有能だが、大卒ではないので契約社員のままだ。しかも、彼女は父親と不和という家庭環境にあり、将来の生活設計に不安な要素を持っている。結局、ハ・サンスが銀行内のトラブルでアン・スヨンとのデートをすっぽかす形になって、2人の関係がぎくしゃくしてしまう。
そんなハ・サンスを愛する女性が、大学時代の後輩で支店でも代理の肩書を持つパク・ミギョン(クム・セロク)である。

愛の成就に必要なのは?

パク・ミギョンは裕福な家庭で育ち、ハ・サンスと価値観が違いすぎる。それでも2人は正式に付き合うことになったのだが、パク・ミギョンがハ・サンスに高価な車と高級スーツをプレゼントしたことから彼の自尊心が大いに傷ついてしまう。
一方、アン・スヨンが同棲することになった相手が、支店で守衛をしているチョン・ジョンヒョン(チョン・ガラム)である。
純朴な性格で人柄もいいのだが、病気の父親の手術代をアン・スヨンから借りる羽目になってしまった。その負い目がつらい。
贅沢な暮らしに慣れきっているパク・ミギョン、父親を早く亡くして母親に育てられたハ・サンス、能力に見合った処遇を銀行から得られないアン・スヨン、銀行で守衛をしながら警察官試験を受け続けているが合格できないチョン・ジョンヒョン。この4人の生い立ちや職場での現況を詳しく扱いながら、「愛の成就に必要なのは純粋な感情か、それとも、打算的な経済状況なのか」という問題を描いているのが『愛と、利と』の面白いところだ。
愛と利益はどのように両立するのか。終盤に向けて4人の出す結論が本当に気になる。

文=康 熙奉(カン・ヒボン)

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2023.01.28