「コラム」連載 康熙奉(カン・ヒボン)のオンジェナ韓流Vol.151「悪女が動かした朝鮮王朝」

悪女が生まれる背景

朝鮮王朝の政治の表向きは男性が仕切っていたが、摂政によって長老女性たちが何度も政治に関与していた。そういうときに、一族の利権を独占する偏った政治が行なわれて朝鮮王朝が混乱した。
やはり、物事には何でも表と裏がある。表向きの政治とは別に、その裏で王の母や祖母が大妃として、王の政治に関与していた。王妃や側室も個人的に王と会話をする機会があって、気弱な王だと彼女たちの意見に左右されやすかった。
さらに、女官の中にも権力志向の強い人がいて、そういう女官が裏で王の政敵を排除することもあった。
日本にも江戸時代に大奥があり、そのときも女性の中での権力闘争はあったのだが、徳川将軍の政治に深く関与することはなかった。朝鮮王朝の大奥は、王の政治に直接関与できたことが、朝鮮王朝と徳川幕府の大奥の違いだ。

朝鮮王朝には儒教思想が浸透していて、その中で女性は男尊女卑の扱いを受け、低い身分に甘んじなければならなかった。
だからこそ、自分の才覚や立場を利用して成り上がろうとした女性がたくさんいたのである。そういう女性は、結局は悪女にならざるを得なかった。

文=康熙奉(カン・ヒボン)

2021.02.20