「コラム」連載 康熙奉(カン・ヒボン)のオンジェナ韓流Vol.151「悪女が動かした朝鮮王朝」

悪女を通して朝鮮王朝の歴史を見ると本当に興味深い。韓国時代劇が面白いのは、個性的な悪女がいっぱい出てきて、人間の奥深さを存分に見せてくれるからだ。そんな悪女たちが、朝鮮王朝を大きく動かしたのは間違いない。

女帝のような悪女

たとえば、“朝鮮王朝の3大悪女”と呼ばれる3人がいる。
史上最悪の暴君として有名な10代王・燕山君(ヨンサングン)をそそのかして贅沢三昧をした側室の張緑水(チャン・ノクス)、11代王・中宗(チュンジョン)の三番目の正室だった文定王后(ムンジョンワンフ)の手先として働いた鄭蘭貞(チョン・ナンジョン)、そして一介の女官から王妃にまで登りつめた張禧嬪(チャン・ヒビン)。この3人か“朝鮮王朝の3大悪女”と言われている。
彼女たちは確かに悪事を働いたが、あくまで自分の欲望を叶える手段として行なったわけで、悪女としてのスケールはそんなに大きくない。むしろ、巨悪はもっと政治の中枢にいた。たとえば、王妃や大妃の中にはとんでもない悪女がいる。やはり、権力を持った側にいる悪女は、えげつないほどにワルだった。
このように、権力の側についた悪女が政治に介入して朝鮮王朝に混乱を招くことが多かった。どうして、そんなことが許されたのだろうか。そもそも、朝鮮王朝の歴史は王を中心とした男性が仕切っているように思われるが、女性も政治に関与していたのだろうか。

もともと、朝鮮王朝は王を頂点とする中央集権国家で、官僚が王を補佐していたが、彼らは科挙という試験を受けて出世した人たちだ。女性はその科挙を受けられないので、政治にまったく関与できなかった。
ところが、朝鮮王朝の歴史を見ると、幼くして王が即位した場合は、成人になるまで王族の長老女性たちが摂政をしていた。彼女たちは政治の最終決定ができる立場なので、女帝のように振る舞うこともできた。

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2021.02.20