韓国時代劇には数々の魅力的な女性が登場するが、そのなかでも抜群の存在感を放つのが、「朝鮮王朝3大悪女」の1人に数えられる張禧嬪(チャン・ヒビン)だ。絶世の美女として歴史書にも記されている彼女は、宮女から側室となり王の子を授かりながらも、最後は死罪となって散る……その経歴は実にドラマ向け。これまでも、彼女をメインにした作品が多く作られているが、その設定は作品ごとに異なっている。これまでの韓国時代劇で張禧嬪がどう描かれてきたのかを見てみよう。
ドラマの主人公として魅力的
朝鮮王朝時代には王の言動を細かく記した公的な歴史書『朝鮮王朝実録』があるが、張禧嬪はそこに「とても美しい顔をしている」と明確に記されている。つまり彼女は、国家記録に残るほどの絶世の美女だったことは間違いない。
張禧嬪がなぜ、悪女として後世に名を残したのかを端的に書くならば、「嫉妬と独占欲から王(=19代王・粛宗〔スクチョン〕)を惑わせて、国政を大いに乱した」からである。
王を惑わす傾国の美女。確かに、ドラマの登場人物としては魅力的であり、過去にも多くの作品で、物語の重要人物として登場している。それだけに、張禧嬪役を任される女優には、抜群の美貌と演技力が求められる。
歴代の張禧嬪を演じてきた名女優たちを見てみよう。
張禧嬪を大々的に取り上げた初期のドラマが、韓国で1995年に放送された『妖婦張禧嬪』であり、最高視聴率40%を超える大ヒットを記録した。本作で張禧嬪を演じたのがチョン・ソンギョンだ。
ちなみに、韓国での原題は『張禧嬪』だったのだが、後年に同名の別ドラマが制作された影響で、差別化のために「妖婦」という単語が後付けされた。
本作を振り返ると、実際には「妖婦」の側面よりも、イム・ホ演じる粛宗との恋物語の要素が強い。
より「妖婦」としての側面が強調されているのが、2002年に放送された『張禧嬪』である。
この作品で、張禧嬪に扮したのが、韓国を代表する名女優キム・ヘス。美貌でチョン・グァンリョル扮する粛宗を翻弄する一方で、敵対者たちを冷酷に排除していく姿は悪女そのものだった。
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悪女の典型とみなされた張禧嬪(チャン・ヒビン)の激しすぎる人生!