「コラム」コン・ユこそが『トッケビ』の主役でなければならなかった!

写真=tvN『トッケビ』公式サイトより

「誠実さ」という点で、コン・ユという俳優は一貫している。自分を飾らず、素直に自分の至らなさを吐露する……それこそが好感の持てる「誠実さ」であり、コン・ユはそれを私たちに示してくれる。

ありのままのコン・ユ

コン・ユが人気脚本家のキム・ウンスクから『トッケビ~君がくれた愛しい日々~』のオファーを受けたとき、それを5年間も断り続けた。
それでもキム・ウンスクは諦めなかった。
その熱心さに心を動かされて、コン・ユはようやく『トッケビ』の主演を受け入れた。それによって、あの傑作が世に出たわけである。
忘れられない言葉がある。
2017年5月に行なわれた百想芸術大賞の授賞式でコン・ユが『トッケビ』によってテレビ部門・男性最優秀演技賞に輝いたとき、彼はこう述べている。
「私はどこにいて、誰であって、今どこに行こうとしているのか……」
それは道に迷ったかのような発言で、晴れの舞台に似合わない受賞コメントだった。
しかし、その言葉の中に「ありのままのコン・ユ」が見え隠れしていた。
トッケビとは何か。

それが、時空を越えて深遠な世界を行ったり来たりする魂だとすれば、コン・ユもまた、芸能の世界で苦しみながらも自分の存在に永遠の魂を注ぎこもうとするトッケビに思えてくる。
しかもまた、このトッケビは未だ自分の正体をつかめないでいる。
それでいい。
迷いながらも、コン・ユは今後も作品を通して自分が「トッケビの1人」であることを見せてくれるに違いない。

文=康 熙奉(カン・ヒボン)

提供:韓流テスギ

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2020.08.08