Q.自分の身にこのような出来事が起きたらどんな選択をすると思いますか?
ソン・チャンウィ:こんな状況には陥らないでしょうね。ウニョクの人生と僕は異なります。もしそうなったとしたら、ウニョクの選択は許されないですよね。あはは。女性を捨てて別の女性に走るなんて。あと、ウニョクのヨンジュへの思いは本当の愛ではなかったと思います。何も持たない世の中に独り取り残されたような男をヨンジュが心から愛して、ウニョクはその愛を振り払えなかったのだと思います。でも彼女には一生尽くそうと考えていたところに、チェリンに出会うんです。2人の複雑な人生と2人の関係は特殊なので、その関係を一般的な感覚で共感することは難しいと思います。ドラマでは描かれていませんが、状況を見れば明らかです。つらい環境で生きてきたウニョクは、虐待を受けつつも父親の犯罪に荷担させられるなど、傷だらけの人生ではあるけど道は外れたくないと願っています。そして裏切りたくない最初の相手は養父母であり、2番目がヨンジュでした。でもチェリンを通して自分を振り返るようになり、愛情を感じるようになるんです。
Q.ヨンジュには感謝の気持ちで、チェリンには愛情だったということですか?
ソン・チャンウィ:はい。それが大きな理由だったと思います。でもヨンジュへの感謝の思いは大きい物でした。自分を受け止めたくれた人ですから。だからヨンジュに一生尽くそうとも思い、その責任も果たそうと思っていたはずです。ウニョクにとってヨンジュは、感謝と責任感と、人として好意を持つ人なんです。
Q.視聴者からは、不倫ドラマなのに応援しながら見たドラマは初めてだ、登場人物の背景に理解できる、などの意見が多かったようです。
ソン・チャンウィ:本作は、身近な物語とは言えません。ウニョクに限らず、すべての登場人物が尋常ではない人生を生きています。厄を移すという始まりからすでに、人間どうしの出会いや葛藤、誤解や運命などが絡み合っています。現実的な感覚では納得しにくい面もあるでしょうが、登場人物を追い続けてみると、各人に理解や共感できるようになります。だから不倫についても理解できるようになるのでしょうね。
Q.チェリンとヨンジュの間であったり、冷たかったり優しかったり、感情が揺れ動く演技が必要だったかと思いますが、その点はいかがでしたか?
ソン・チャンウィ:物語の最初のほうは確かに悩みました。あまりにも悩みすぎて周囲の人から心配されるほどで、難しかったですね。もし演技に失敗したら、物語の最初からウニョクがおかしな感じになってしまうと思っていました。なぜなら、ウニョクは本当にあくどい人物ではなく、どこか共感を呼べるようでなければいけません。しかし、彼の行動に果たして共感できるか、と。自分によく尽くしてくれて、結婚まで約束した女性を捨てて既婚者の女性に思いを告白して愛してしまう彼の行動に理解できるのか。最も悩んだのはそこでした。撮影の時に、ヨンジュはとても悩んだでしょうね。ウニョクが無口なので自分を愛しているのかどうかも分からず、台本にもまったく説明がなかったので。口数の少ないウニョクを前にしてヨンジュとしての気持ちを定めるのは容易ではなかったでしょう。撮影中に、僕がヒョンギョンさんに、ヨンジュに対して申し訳ない気持ちであることを伝えました。チェリンの元に走った時も、ウニョクの心をとらえがたくて大変だったでしょうね。
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