「コラム」連載 康熙奉(カン・ヒボン)のオンジェナ韓流Vol.99「王妃の悲しき運命」

 

「嫉妬」が理由になった

七去之悪は、夫が妻を離縁できる7項目のことだ。
その7項目とは「舅や姑に従わなかった」「盗みを働いた」「淫行をした」「病気になった」「言葉で失敗をした」「子供を産まなかった」「嫉妬深かった」である。
この中で一つだけでも該当すると夫は妻を追い出すことができた。それは王妃にも適用されることだった。

嫉妬深いだけで離縁されてしまうのだから、妻もたまったものではない。しかし、宮中でも過去に「嫉妬」を理由に王妃の座を追われた女性がいた。
それは誰かと言うと、19代王・粛宗(スクチョン)の二番目の妻であった仁顕(イニョン)王后で、彼女は1689年に廃妃になっている。
当時、粛宗は張禧嬪(チャン・ヒビン)を寵愛していて、何がなんでも仁顕王后を王宮から追い出したかった。それで「仁顕王后は嫉妬深い」という理由を持ち出したのだ。

こんなことで離縁させられるなら、ささいなことでも何でも理由にされてしまう。
それだけに、王がいかに側室をたくさん抱えていても、王妃は決して嫉妬を見せてはいけなかった。これは、女性としてどれほどつらいことだったか。
幸いに、仁顕王后は1694年に再び王妃に復帰したのであったが……。そのあたりの経緯はドラマ『トンイ』でも詳しく描かれていた。

文=康 熙奉(カン ヒボン)

 

2019.11.30