内助の功
やがて戦争が起きた。温達が最高の手柄をあげると、平岡王は心の底から喜び、温達に高い官職を与えた。
信じられないような大出世。すべては、内助の功を発揮した平岡姫のおかげだった。
590年、平岡王が亡くなり、嬰陽(ヨンヤン)王が後を継ぐと、温達は新しい王にこう言った。
「新羅に土地を奪われて民衆が泣いています。私におまかせくだされば、すぐに行って取り戻してきます」
嬰陽王の許可が出たので、温達は精鋭を引き連れて新羅軍を攻めた。しかし、彼は戦死してしまう。部下が彼を弔おうとしたが、棺がピクリとも動かなくなった。そのとき、平岡姫がやってきて棺に話しかけた。
「生死がすでに決まりました。憂いを残さず天国へ行きましょう」
この呼びかけによって、あれほど重かった棺がようやく動いた。そして、国中の人たちが英雄の死を悼んだ。
以上が「温達と平岡姫」の物語である。