「完全かつ最終的に解決された」
1965年6月22日、長い交渉の末に日韓基本条約が結ばれて国交が開始された。この日韓基本条約にともなって結ばれたのが日韓請求権協定だ。日本が無償3億ドル、有償2億ドルの合計5億ドルを韓国に支払うことで、「植民地時代の請求権問題は完全かつ最終的に解決された」とされた。
1ドル360円の時代なので、5億ドルは巨額だった。ただし、請求権の具体的は中身は明記されていなかった。それでも、日本は、今後韓国からの請求権はいっさい生じないという立場を今も守っている。
一方、朴正熙は日本からの賠償金を生かした。インフラ整備の建設資金に当てたのだ。今の韓国で経済成長の立役者と目されている朴正熙。彼は日本からの賠償金を有効に使って経済成長を促したのである。しかし、朴正熙は民主勢力を弾圧して多くの若い活動家を死刑に処した独裁者でもあった。
以後も韓国では軍事政権が続いたが、1987年の「民主抗争」によって民主化が実現した。
そして、1990年代に入ると、民主化以前の軍事政権時代の様々な疑問が噴出するようになった。言論の自由が抑えられていたために日の目を見なかった問題が一気に世に出てきたのである。それらの中には、植民地時代の「従軍慰安婦問題」や「強制動員された徴用工の補償問題」もあった。
この問題は、今も日韓の間で外交課題となっている。
文=康 熙奉(カン ヒボン)
コラム提供:ロコレ
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