「コラム」連載 康熙奉(カン・ヒボン)のオンジェナ韓流Vol.69「連休に改めて見たいドラマ」

普遍的な題材

シウォンに恋している男性主人公がユンジェで、ソ・イングクが演じている。彼にはテウンという兄がいて、このテウンもシウォンのことが好き。それで兄弟の関係がちょっと難しくなるのだが、後半に向けて兄弟がお互いを思い合う場面が胸に響く。
こういった人間の情愛が細かく描かれているのが『応答せよ1997』だ。韓国ドラマというのは家族関係を大切にする場面が多いが、この作品もそういう意味では正統派のドラマである。
さらに、チョン・ウンジとソ・イングクの主役コンビがとてもいい。チョン・ウンジは、釜山の高校にこういう女子高生がいっぱいいるんだろうなあ、と思わせるくらい演技が自然だった。ソ・イングクにしても、無口でぶっきらぼうな釜山の典型的な男をありのままに演じていた。

2人はもともと歌手なので演技はそんなに経験がなかった。チョン・ウンジはドラマ出演が初めてだし、ソ・イングクは『ラブレイン』でちょっとおどけた役を演じただけ。しかし、2人は『応答せよ1997』で大ブレークした。
いずれにしても、このドラマはそれぞれの年齢層が十分に楽しめる。たとえば、20~30代だったら、アイドルを追っかける人の気持ちがわかる。ドラマに出てくる人たちと年齢も近いし、共感しながら感情移入ができるだろう。
40~50代なら、自分たちの高校時代を懐かしく思い出しながらノスタルジックに楽しめる。それ以上の年齢の人なら、初恋・親子愛・兄弟愛に心が動くはず。『応答せよ1997』は、まさに普遍的な題材を生かした傑作だ。

文=康 熙奉(カン ヒボン)

2019.05.04