「コラム」文定王后(ムンジョンワンフ)とはどんな悪女だったのか

 

暗黒の時代

悪女の代名詞とも言うべき文定王后。
そのまわりにもワルがいる。
まずは、実弟の尹元衡(ユン・ウォニョン)だ。
姉のおかげで出世を果たし、徹底して賄賂政治を行なった。
その尹元衡が料亭で見いだした妓生(キセン)が鄭蘭貞(チョン・ナンジョン)だ。いや、むしろ、最下層の身分だった鄭蘭貞が意図的に尹元衡に近づいて、成り上がるという野望を実現していった。

結局、鄭蘭貞は尹元衡の妻を毒殺して、その後釜にもぐりこんだ。そのうえで、2人は文定王后の手先として悪事を働いた。
明宗は心やさしき王だった。
しかし、母親が実権を握っているので、傀儡(かいらい)の王にならざるをえなかった。文定王后の悪政を間近に見て、どんなに心苦しかったことか。
そういう意味でも、16世紀なかばの朝鮮王朝は、暗黒の時代だったと言える。

文=康 熙奉(カン ヒボン)

コラム提供:ロコレ
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康 熙奉(カン ヒボン)
1954年東京生まれ。在日韓国人二世。韓国の歴史・文化と、韓流および日韓関係を描いた著作が多い。特に、朝鮮王朝の読み物シリーズはベストセラーとなった。主な著書は、『知れば知るほど面白い朝鮮王朝の歴史と人物』『朝鮮王朝の歴史はなぜこんなに面白いのか』『日本のコリアをゆく』『徳川幕府はなぜ朝鮮王朝と蜜月を築けたのか』『悪女たちの朝鮮王朝』『宿命の日韓二千年史』『韓流スターと兵役』など。最新刊は『いまの韓国時代劇を楽しむための朝鮮王朝の人物と歴史』。

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2019.01.20