一家の大黒柱
経済成長を果たした今も、西帰浦では海女をしている人たちがいる。
港の突端に行くと「海女の家」があって、採れたばかりのサザエやアワビを食べさせて
くれる。
私も多くの人たちを誘って出掛けたが、韓国の本土から来た人たちは海女たちの会話を聞いても「まったく理解できない」とお手上げだった。
それほど方言が強いのである。
しかし、賑やかに笑いあっている海女たちを見ていると、言葉はわからなくても、たくましさが伝わってくる。
「夫に代わって私が家の屋台骨を支えている」
そんな気骨を感じる。実際、海女の仕事で子供たちを何人も留学させた、という話を何度も聞いた。済州島では海女の存在がキラリと光っている。
よく見かけるのが、西帰浦の有名な滝の周辺だ。黒い潜水服に身を包んだ海女たちが観光客用にアワビやサザエの刺身をよく売っている。
いつも大型のアワビを勧めてくる。
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