思い出の海岸
韓国のあちこちで飲み歩いてきたので、酒に関しては様々な記憶があるが、1つだけ思い出してみよう。
2004年7月、江原道(カンウォンド)のチュアム海岸に行ったときのことだ。
この海岸は『冬のソナタ』の第18話に出てくる。ユジンとの別れを決意したチュンサンが彼女を誘って行った海が、まさにチュアム海岸だった。ドラマの名場面を思い出す人も多いだろう。
実際にとても美しい海岸で、私もチュンサンとユジンが泊まった民宿にやっかいになった。
夜は地元の食堂で極上の刺し身を食べ、かなり酔いがまわっていた。それでも懲りずに、酒を買って砂浜に腰を下ろして飲んだ。
焼酎が何本あっても足りない。その度に再び買い出しをして、砂浜で飲み続けた。
「チュンサンとユジンもこの砂浜に座っていたなあ」
そんなことを思いながら、『冬のソナタ』の名場面にあやかって、海に向かって思い出の品を投げるポーズまでしてみた。ほとんど泥酔状態である。
寝入ってしまった。
夢の中で、犬が吠えている。その声がどんどん近づいてくる。しまいには、犬の臭いまでしてくるではないか。
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