「コラム」康熙奉(カン・ヒボン)のオンジェナ韓流Vol.25「映画『天命の城』の歴史背景」

原題は『南漢山城』

私は、この映画のパンフレットに歴史解説を書いている。結論から言うと、1カ月半の籠城の末に仁祖は籠城をやめて、漢江(ハンガン)のほとりで清の皇帝の前で額を地面にこすりつけて謝罪をした。
それは朝鮮王朝で一番の屈辱と言われる瞬間だが、この謝罪によって朝鮮王朝は滅亡を免れたのである。
ただし、莫大な賠償金を取られ、捕虜をたくさん連れていかれ、仁祖の息子3人も人質になってしまった。

そういう意味では、謝罪だけで済まずに大変な被害を被ったわけだが、映画は屈辱の背景にある高官たちの「国を思う強い気持ち」を丹念に描いていた。
この映画の韓国での原題は『南漢山城』。韓国人なら誰でも知っている南漢山城だが、日本ではほとんどの人が知らないので『天命の城』というタイトルになっている。この「天命」の意味するところは大変重い。
崔鳴吉を演じたのがイ・ビョンホンで、金尚憲はキム・ユンソクが扮している。2人の演技は本当に見応えがあった。

文=康 熙奉(カン ヒボン)

2018.06.23