韓国の俳優の経歴を見ると、多くの人が大学の演劇関連学科を卒業している。ここが、日本の芸能界とかなり違う点だ。しかも、韓国には専門的な大学だけでなく、著名な総合大学の多くに演技を学ぶための演劇関連学科がある。その数は40以上。受験者数も多く、かなりの難関になっている。なぜ、これほど人気があるのだろうか。
学閥を利用できる
韓国の大学の演劇関連学科が人気があるのは、卒業すれば俳優になれる可能性が高いと考えている人が多いからだ。
たとえば、同じ大学の先輩が芸能界にいると、出演を推薦してくれたり、演技指導をしてくれたりと、いろいろ世話をしてくれる。長い時間がかかっても、韓国で俳優として生き残るには、学閥を利用しなくてはならないときがあるのだ。
俳優の卒業生が多い名門大学の教員は次のように語っている。
「演劇関連学科の人気が高いのは、学生たちが韓国芸能界の実情をわかっていないからかもしれません。というのは、高校を卒業したばかりの新入生たちは、大学の演劇学科に行けば『芸能人にしてくれる』『芸能人になればお金もたくさん稼げる』と思ってしまいがちなのです。大学に入れば学ぶことはたくさんあり、とても大変なのですが、多くの学生が芸能界に対する表面的なイメージだけで入学を決意してしまっているのが現状です」
「しかし、現実は違います。最初は俳優になろうとトライする学生が多くいますが、すぐに壁にぶつかります。たとえば劇団に入れば、最初はトイレ掃除からさせられるのが当たり前。でも、一流の大学を卒業したという自負もあり、我慢できないのです。それでやめてしまう場合が多々ありますね」
実際、名門大学の演劇関連学科を卒業したとしても、一流の俳優として成功できるのはほんの一握り。しかも、そこにたどり着くには長い道のりが必要だ。(2ページに続く)