独特な世界観を持った俳優なのだが……
事情が変わることは誰の人生にも起こりうる。彼にも心境の変化があったのだろう。
しかし、新作を期待していたペ・ヨンジュンのファンは、随分と寂しい思いをしてきたのではないだろうか。
何よりも、ペ・ヨンジュンの俳優としての才能と演技力を惜しむ。彼は独特な世界観を持った俳優としては、まさに希有な存在だった。その俳優魂がこの10年間で生かされたことが非常に残念だ。
様々な企画が持ち込まれ、出演を検討していた時期もあった。しかし、結局は実現に至らなかった。
そうして10年が経ってしまった。
空白の10年を振り返って、ペ・ヨンジュンに尋ねてみたい。
「俳優として全力を尽くすことの何を恐れていたのですか?」 彼は何も答えないだろう。
しかし、ファンはまだ一縷の望みを持っている。
……40代後半を迎えたペ・ヨンジュンが、人生の深みを表現するような作品で主演を果たしてくれる、と。
私もまだ彼の新作を期待している。
文=康 熙奉(カン ヒボン)