-では最後に、日本の観客にメッセージをお願いします。
時代、歴史、個人という軸があって、国によって、歴史によって、個人の生き様が変化していきます。この作品を通して、そういう個人と歴史の関係性というものを見てもらえるといいと思います。また、この作品は、愛という価値、1度の人生で、生涯1人だけを思いながら生きられるのか、といった愛に関する物語であり、その愛を代弁するのが、待つということです。単純に分断や、時代的な痛みということだけではなく、人と人との愛、恋しさ、待つこと、といった情緒を一緒に感じながら見てもらえたらうれしいです。
インタビューの最後に、締めくくりのあいさつとして、日本の観客に向けてメッセージをお願いすると、急に考え込んでしまったカン・ジェギュ監督。そして、この作品を通して、伝えたいこと、観客に感じとってほしいことを真剣なまなざしでとうとうと語り始め、使命感を持って作り上げたこの作品への深い愛情が垣間見えた。「あの人に逢えるまで」は、短編ながらも長編並みの見応えで、胸にずしりと響く作品だ。
取材:Korepo(KOREAREPORT INC)
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