「個別インタビュー」「シュリ」のカン・ジェギュ監督、短編映画「あの人に逢えるまで」に込めた熱き思いやムン・チェウォン&コ・スのキャスティング秘話を語る!


-平壌までミヌに会いに行くシーンでは、20代のヨニ(ムン・チェウォン)と現在のヨニ(ソン・スク)がカットバックするように描かれていますが、2人の女優にどのような演出をされましたか?
そのシーンは、この映画で重要な場面です。2人ともヨニじゃないですか。ヨニは約60年という月日が流れましたが、観客の目に見えるヨニは、20代で愛する夫と別れたときのまま、時間が止まっています。だから、ヨニの顔を夫と別れ、時間が止まってしまった20代のヨニ、もうすぐ80歳になるヨニ、2つの顔で表現したかったんです。
2人の女優には、好きに演じるよう言いました。監督の立場から見ると、2人は同一人物なので、もちろん共通点もあるし、相違点もあり、その2つの演技を見るというのは、胸が高鳴るようなワクワク感がありました。ワンシーンで2つの顔、感情を同時に見られるというのは、観客の立場としても、楽しめることだし、私自身2人の演技を同時に見たかったシーンでもありました。
-物語の冒頭、ヨニがバスの中で読んでいる詩はどういう詩ですか? どうして引用されようと思ったんですか?
インドの詩人タゴールの作品「ギタンジェリ」の詩です。普段から詩をたくさん読むほうではないんですが、タゴールの詩は個人的に好きなんです。この詩は、待つ人の切実さを凝縮している詩だと思って、使いました。


-撮影でこだわったシーンがあれば教えてください。
鏡の前で、20代のヨニ(ムン・チェウォン)が、70代後半のヨニ(ソン・スク)に入れ替わり、実はおばあさんだったということを分からせるシーンがあるんですが、そこはすごく悩みました。どういう状況で、それを見せたら情緒的に感情的にいいか、顔が変わるということをどういう方法で見せれば、観客に十分伝わるか、すごく気を遣いました。
-これまでにも監督は映画のプロモーションや、昨年は大阪韓国映画祭にも出席され、何度も日本を訪れていると思いますが、日本の印象はいかがですか? 何か変化を感じることなどはありますか?
私にとって、日本は特別な意味があります。「銀杏のベッド」は日本で劇場公開はされませんでしたが、それ以降の「シュリ」から、今回の短編映画まで、日本の観客の皆さんと、劇場でお会いしてきましたから。でも、徐々に劇場に足を運ぶ方たちの年齢層が上がってきている気がします(笑)。若い方が映画をあまり見ないのではないか、それが変化でもあり、映画を作る立場としてはもどかしい、残念な思いもあります。
-では、若者向けに監督自身が作品を作るという考えはありませんか?
それは日本の映画監督たちが、そういう試みをしたほうがいいのではないですか(笑)。
-今後、監督が準備している作品、撮りたい作品はどんなものでしょうか。
いままでアクション、ブロックバスターのような映画をたくさん作ってきたので、いまは生活感があって、人間味あふれる、明るく楽しい、温かい映画を作りたいという気持ちになってきました。次の作品も、そういうものを準備しています。早ければ、来年末にはお届けしたいなと思っています。

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2017.07.18