老論派の利益の代弁者
『朝鮮王朝実録』の記述は代わって正祖が重臣や医官たちに囲まれている場面に移る。しかし、すでに正祖は危篤状態になっていた。
重臣たちが「臣下の者たちが集まりました」と大声で叫んでも、正祖は何も話せないような状態だった。
医官たちが何度も脈を取っているうちに、しまいに「恐れ多くも脈の状態がよくわかりません」と言った。
正祖が危篤状態になっている中で、ついに貞純(チョンスン)王后が登場した。彼女は、正祖の祖父であった21代王・英祖(ヨンジョ)の二番目の正室である。
実家はバリバリの老論派だ。
それだけに、貞純王后は老論派の利益の代弁者だった。
そういう意味では、貞純王后には正祖を排除したい動機があった。彼が新しい人材を起用すると、老論派が衰退するからである。(ページ3に続く)