大義名分が必要だった
綾陽君は苦悩した。
彼はクーデターを成功させたが、光海君に政治的な失敗があったわけではない。むしろ、光海君は善政を行なっていたと言っても過言ではなかった。
そんな光海君を王宮から追放すれば、ただの反逆と受け取られかねない。それだけに、綾陽君は大義名分がほしかった。
その大義名分とは、仁穆王后に「光海君は兄弟たちを殺し、正統的な王でない」と宣言してもらうことだった。
つまり、仁穆王后のお墨付きがほしかったのだ。そのためには、仁穆王后の意向には逆らえない。
しかし、光海君を斬首にするというのは別の話だった。そんなことをすれば、クーデターこそが非道のそしりを受け、新しい王位は批判にさらされるだろう。
どうすれば、いいのか。
綾陽君は必死に仁穆王后を説得した。(ページ4に続く)