光海君は究極の仇
さらに、仁穆王后は鬼のような形相で言った。
「奴は同じ空の下で一緒にいられない仇(かたき)。私が直接首を斬り落としたい」
このように、光海君の斬首を強く主張した仁穆王后。娘の貞明公主も、気持ちはまったく同じだった。
綾陽君としては、仁穆王后の「光海君を斬首せよ」という命令をそのまま実行するわけにはいかなかった。
いくらクーデターで追放した王とはいえ、一度は在位していた先王を斬首すれば、綾陽君が歴史上で悪評を受けるのは間違いなかった。仁穆王后の要求を呑むことは、とうていできなかったのだ。
「私はまだ思いどおりに振る舞うことができない立場です」
綾陽君はそう言い訳したが、仁穆王后の主張は強硬だった。
「奴が勝手に母子の道理を破った。私にはかならず晴らさなければならない怨みがあり、これだけは絶対に譲れない」
このように語る仁穆王后の意思を貞明公主も全面的に支持した。(ページ3に続く)