第4回 貞明公主の歓喜
永昌大君(ヨンチャンデグン)を殺された上に、西宮(ソグン)に幽閉された仁穆(インモク)王后と貞明公主。悲しみのどん底に突き落とされた2人にとって、ついに恨みを晴らす日がやってきた。光海君(クァンヘグン)の王位に対するクーデターが起こったのである。
王の座を脅かす人物
光海君に強い恨みを持っていたのは、仁穆王后と貞明公主だけではなかった。14代王・宣祖(ソンジョ)の孫であった綾陽君(ヌンヤングン)も、光海君のことを強く恨んでいた。
この綾陽君は、光海君の甥であった。彼はなぜ光海君に恨みを抱いたのか。それは、最愛の弟を殺されたからである。
その背景を見てみよう。
光海君は宣祖の二男であったが、五男にあたるのが定遠君(チョンウォングン)である。この定遠君には綾昌君(ヌンチャングン)という優秀な息子がいた。しかし、あまりに頭が良すぎるがゆえに、光海君の一派から「王の座を脅かす人物」と警戒され、謀反(むほん)の罪を捏造された末に処刑されてしまった。
父の定遠君は最愛の息子を失って絶望の中で世を去った。親族の悲劇に直面し、強い復讐心を燃え上がらせたのが、綾昌君の実兄の綾陽君だったのである。(ページ2に続く)