「イベントレポ」ナ・ホンジン監督待望の最新作「哭声/コクソン」(3/11公開)、 監督が約5年振りに来日、プレミア上映に登壇

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“よそ者”というキャラクターの解釈が観る人の想像にゆだねられる部分が大きいことについて考えを聞かれた監督は、「“よそ者”は映画を通して、他の登場人物だけでなく観客に疑問を投げかける重要な役どころにあります。そして、映画そのものも疑問を投げかけ続け、それが映画の中でどんどん変わっていく。色んな解釈があると思いますがその全てが正しく、観客の方が自分で整理して完成させる映画だと思っています」と語る。役柄の背景について國村は、「この役柄においては、よく言う“役作り”は機能しない。そもそも実在するものではないかもしれないキャラクターで、それをどう作っていくかは難しいです。だから、このキャラクターの存在意義、役割はなんだろうと考えるところからスタートしました。この映画の舞台となる平和な田舎の村をひとつの池と例えると、そこに異物として石ころが投げ込まれることによって生まれる小さな波紋。私の役柄はそんな波紋をおこすそんな石ころのようなものかもしれない・・・そんなアプローチをしていきました」と独自のアプローチ方法を披露。

また、スコット・フリー・プロダクション(リドリー・スコットの製作会社)からリメイクのオファーが来たものの韓国製作サイドが「この映画はナ・ホンジン以外に作ることはできません」と返答したと各国で報じられていることについて、監督は、そのオファーがあったことを認め、そのコメントをスタッフの冗談ではないかとしつつも「もし自分にリメイクの監督のオファーがきても、自分はこの映画のリメイクを作るつもりはありません。でも、國村さんはこの映画には必ず必要だから推薦したいですね」と回答。それに対して國村も「ナ・ホンジン監督が作らないなら自分も出ないんじゃないかと思います」と同調すると、監督は、「じゃあふたりともやらないということで(笑)」と息の合ったコメントをし、場内は大きな笑いに包まれた。

その他、本作に祈祷師役として出演する韓国の大スター:ファン・ジョンミンについて「大スターなのに本人は全然驕るところがなく、この映画にも彼自身の真摯な人柄が出ている」(國村)、事件の“目撃者”から映画後半のストーリーの大きなカギを握るチョン・ウヒについて、「現場では妹のような存在だったけど、映画が伝えたいことを代弁してくれる、現場ではものすごいパワフルな演技をしてくれました」(監督)、出演者のキャスティングの基準について「その役に一番ふさわしく、一番正しいかどうかを考えています」(監督)など質問が次々と飛び出す中、ふたりは映画が放つ雰囲気とは打って変わって和気あいあいと応じ、お互いへの親愛やリスペクトが感じられる温かいティーチインとなった。


最後に國村は、「最初に聞こうと思っていたんですが、映画はどうでした?」と観客に問いかけると、大きな拍手が沸き起こった。続けて「今までこんな映画はありませんでした。カテゴライズできないエンターテイメントで、新しい映画の楽しみ方のひとつになるんじゃないかと思います。それを体験させてみたい!という人がいればぜひその人を誘って一緒に映画を観に来てください」と挨拶。
監督は、「監督ナ・ホンジンの全てを賭け、注ぎ込んだ映画で未練はありません。どんな評価を受けようがその全てを受け止める所存です。こんな人間が6年の全てをかけて作った映画なので、友達にそのことを伝えてください。長い時間ありがとうございました。」と締めくくった。(4ページに続く)

2017.01.25