「イベントレポ」『太陽の下で-真実の北朝鮮-』トークイベント「撮りたかったシーンはすべて禁止された」

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本作はロシアでは「ドキュメンタリー映画としてはロシアで最高の収益を記録した」そうだが、「公的な映画館が公開日の3日前に上映を取りやめるなど、紆余曲折を経て結局民間の映画館でのみの公開になってしまった」と悔やんでいた。

ヤン・ヨンヒ監督に「(監督は)旧ソ連出身だから、北朝鮮の様な体制には免疫があると思うのですが、それでもビックリしたりあきれたことはあったのか?」と問われると、「私は北朝鮮で起こっていることがよくわかります。ですから私にとって個人的に北朝鮮に住む人々一人一人に一種の共感というか同情というか、一緒に苦悩を共にしたいという気持ちを持っている。」と答え、「体制が変わったりしたらまた北朝鮮で映画を撮りたいか?」との質問には、会場のお客さんを見渡して「ここにいる皆さんが生きている間には北朝鮮のシステムが変わることはない」ときっぱり。

それにはヤン・ヨンヒ監督も「断言しましたね。私はいつも濁すのですが、、しかし私も期待は全くしていない」と同意。「そして私も北朝鮮に入国できない身なので、勝手に同志のような気がしている」と監督への親近感をにじませた。さらに「私も(北朝鮮にいる)姪っ子をホームビデオのようにして撮影したドキュメンタリーを撮ったので、ぜひ監督にも観てほしい」と伝えた。逆にマンスキー監督からも「もし体制が変わったら、本作の出演者たちが撮影当時どう思っていたのか、そういったことを映画にしてほしい」とオファーを出した。

最後にヤン・ヨンヒ監督は「カメラが無いときの映ってないときの彼らのことを考えながら映画をみてほしい」とメッセージ。マンスキー監督も日本の観客に本作に向き合う際は「心を開いてください」とアドバイスを送り、トークイベントを締めくくった。

 

映画『太陽の下で-真実の北朝鮮-』は2017年1月21日、シネマート新宿、シネマート心斎橋ほか全国順次ロードショー

<あらすじ>8才のジンミは模範労働者の両親とともに平壌で暮らしている。“理想の家族”の姿がそこにはあった。“庶民の日常”を映し出すドキュメンタリーの撮影のはずが、“北朝鮮側の監督”のOKが出るまで一家は繰り返し演技させられ、高級な住まいも、親の職業も、クラスメイトとの会話も、すべて北朝鮮が理想の家族のイメージを作り上げるために仕組んだシナリオだった。そこでスタッフは、撮影の目的を“真実を暴く”ことに切りかえ、録画スイッチを入れたままの撮影カメラを放置し、隠し撮りを敢行するが…。

監督・脚本:ヴィタリー・マンスキー、

撮影:アレクサンドラ・イヴァノヴァ、

編集:アオドレイ・ペパルヌィ、

音楽:カルリス・アウザンス、

プロデューサー:ナタリア・マンスカヤ

出演:リ・ジンミ
2015年/チェコ、ロシア、ドイツ、ラトビア、北朝鮮合作/110分/カラー/原題:V paprscích slunce

字幕翻訳:崔樹連

配給:ハーク

2016.12.14