「イベントレポ」『太陽の下で-真実の北朝鮮-』トークイベント「撮りたかったシーンはすべて禁止された」

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「もともとはどのような映画を作ろうと思って北朝鮮側に許可をもらったのか?」との質問に、マンスキー監督は「私が当初作ろうとした作品は実現しませんでした。北朝鮮に入った最初の数日で、(作れないと)すぐにわかって、そういう条件の中で、巨大なリアリズム、そのスローガンがその通りに行かない、結局逆説になっていく、そのような作品になっていく、しかしそうするしかないなと思った」と本作が初め思い描いていたような作品にすることができなかったと話し、「撮りたかったシーンはすべて禁止された」と激白した。

北朝鮮の空港に着いてすぐ撮影クルーは全員パスポートを取り上げられ動くことができなくなってしまい、滞在した平壌通りのホテル(部屋の明かりを全部消して)の窓からの撮影を余儀なくされたという。「しかしその撮影すらも最も快適で、その他の撮影は戦時体制中とか敵の中で撮るとか、とても快適ではない状態の中で撮影が進められた」と過酷な撮影状況だったことが窺えた。

ヤン・ヨンヒ監督から「撮れた映像の中で、撮れているけれども編集の段階で、この家族の安全を気遣ってカットした部分や諦めたシーンなどはありますか?」との質問に、「この映画をご覧になればわかるのですが、この家族はすべて言われたとおりに、一切違反せずに演じているんです。それでその3人の一人一人が自分の心から自分が願うことやりたいことやっているのが一つもありません。ですからこの家族は北朝鮮の役人たちが示した決まりみたいなものを一切違反してないんです。だから編集の段階で安全を守るためにするべきことは何もなかった。しかしながら言い添えますと、だからと言ってこの家族の安全は保障されているというわけではないのです。この国では誰もが自分の身を守る保証を得ているとは限らない。でもこの家族に今の段階で一体何が起こったのか私は知っています」と話した。

「この『太陽の下で-真実の北朝鮮-』が様々な国で評判になり、色々な反響があったことで北朝鮮の上層部も観てそれで上層部は何をしたかと言うと、ジンミちゃんを子供たちの英雄に祭り上げたんです。北朝鮮の幸せな社会・家族の象徴として。そして今ではジンミちゃんは最も北朝鮮で有名な子供になり、家族は成功の証しとされている」と主演のジンミちゃんと家族の様変わりした現状を聞かせてくれた。「海外に情報を出している北朝鮮の機関では、これ(本作に)に反対する様々な情報を出しており、私に関しても言葉に表せないような最高の罵詈雑言を発している」と表情を曇らせた。

ロシアの外務省に北朝鮮から公式の通達として「公開上映の禁止、フィルムの破棄、監督を罰しろ」が来たことも告白。しかもこの通達には「米国・韓国・日本の反北朝鮮の手先だ」との懸念も記されていたと。監督は今ロシアに住んでおらず、ロシア政府から監督に何かできるわけでないと知った北朝鮮から「ジンミちゃんがとても私を懐かしがっている、だから家族が私を平壌に呼んでとても重要な話がしたいと言っている」と監督を北朝鮮に来させるための明らかな嘘が記された手紙を貰ったそう。(3ページに続く)

2016.12.14