Qカン・ドンウォンさんはストイックなイメージがあるので、今回ディープなキスシーンがありましたが、あのようなシーンはあまり好きではないのではと思ったんですが…(笑)。
そのシーンはもともとなかったんですが、監督から「あったほうが面白い」と言われて、入れることになったんです。僕としては「必要ないと思うけど」という立場だったんですが、場面転換として必要だと言うので、「じゃあ、必要なら撮りましょう」と。
Qご自身の性格を自分で分析してみると、どんな性格だと思いますか?
マジメだとも言えるし、そうではないとも言えます。政治や社会など関心のある分野については、マジメに考えたり取り組んだりするんですけど、それ以外は…。
現場ではあれこれ悩んだりしないです。初めてシナリオを読んだときの感覚をもとに、自分なりに演技プランを持って現場に入るので、力を入れすぎることなく、こうしてほしいと言われたらそうするし、例えば、死ぬシーンを撮るときは直前まで周りとふざけたり、遊んだりしていても、すぐに本番に入れます。前日から、しっかり役作りをしなきゃとか、早く寝ようとか考えることもなく、お酒を飲んで楽しんで、翌日死ぬシーンをすぐに撮れるという感じです。
もう少し具体的に言うと、シナリオを初めて読むときは、ストーリーを読み砕いていきます。そして、2、3回目に、キャラクターのデザインをしながら読むんですよ。その段階で、自分の中ではキャラクターデザインがほぼ終わります。その次に、プラスアルファの細かい部分を作っていくんですけど、キャラクターデザインを終えているので、現場に入ってからは、そんなに大変ではありません。どれだけ従来の姿を消すのか、生かすのか、それとも新しく作っていくのか、そういう細かい部分は後で肉付けしていくんです。だから、幸いなことに、そんなに苦労しながら仕事をしているという感覚はないです。
最近の悩みは、どれくらい役作りの精度を上げていけるのか、ということです。僕はまだ、メソッド演技をしたことはないんですが、作品に入ると、ずっとそのキャラクターのことを考えているので、自然と顔つきが変わっていくんですよ。映画の撮影中、写真撮影などをすると、初期の頃と、後半に入ってから撮ったものとでは、確実に顔つきが変わっていることが多々あります。そういうことを考えると、全く同じ設定にしなくても、キャラクターを作り上げていくことはできるんじゃないかなと思ったり。人によっては、そのキャラクターが住んでいるであろうと思われる家まで準備し、そこに住んで役作りをするそうなんですが、そういうことは、自分にはできそうにないなと思ったりもして。果たして、本当にどれぐらい、全く新しいものを作り上げていけるのか、ということを常に悩んではいます。そういうことを思い悩みながら、自然と少しずつ成長できているのかなと思います。
Qデビュー13年目となりますが、改めてデビュー当時を振り返るといかがでしたか?
ドラマでデビューし、当時は当たって砕けろという感じでやっていたんですが、幸いなことに、デビュー作はいい評価をいただきました。ただ、その後が大変でしたね。僕は釜山出身なんですが、デビュー作は、釜山の方言を使う役で、釜山弁での演技なら誰にも負けないと思って演じられたので、とても自信を持ってやれたんです。
でも、次の作品からは、ソウルの言葉で演技をしなくてはいけなかったので、そう簡単ではありませんでした。でも、ある瞬間から慣れていき、自分の思った通りにやろうと吹っ切れてからは、演技が上手くできるようになったかなと思います。
Qいろいろなジャンルの作品に出演してきましたが、カン・ドンウォンさんの映画というジャンルになっている気がします。ご自身では、俳優カン・ドンウォンらしさはどんなところにあると思いますか?
自分ではよく分からないです。ただ、最近韓国で、この映画は“カン・ドンウォン・ジャンル”だと評した記事が出てから、そういう話がずっと出ているんですが、そんなに良い話ではないような気がします。ちょっと見方を変えると、自分が作品の中にちゃんと溶け込めていないのではないか、と思うからです。だから、完全に褒め言葉としては受け止めていないです。
映画に対して、基本的に好き嫌いはありません。このジャンルでないと嫌だということもないし、俳優さんによっては、好きなスタイルが明確な方もいるようですが、僕はジャンルにこだわらないし、シナリオが面白ければ、挑戦してみるというスタイルです。(4ページに続く)