「コラム」第13回最悪の暴君・燕山君(後編)/康熙奉(カン・ヒボン)の「簡潔に読む!韓国の歴史」

dsc_0056第13回/最悪の暴君・燕山君(後編)

朝鮮王朝の10代王・燕山君(ヨンサングン)が連日開く宴によって国の財政は悪化し、その反動で庶民の生活は苦しくなった。当然ながら燕山君に非難が集中した。ハングルによる政治批判の書が各地に掲げられると、燕山君はハングルの使用を禁止し、強引に民の批判を押さえつけようとした。そんな折りに、重大な事件が起こる。

継妃の恐るべき行状

任士洪(イム・サホン)という奸臣が何も知らない燕山君(ヨンサングン)に、彼の母の死の秘密を告げてしまった。これによって、朝鮮王朝の歴史を揺るがす大虐殺が始まったのである。

ときは成宗(ソンジョン/在位1469~1494年)の時代にさかのぼる。継妃として成宗の寵愛を受けていた尹氏(ユンシ)はたぐいまれな美貌を持つ女性だった。しかし、独占欲が強くてわがままで、王や周囲の人間を困らせることが多かった。

最初は尹氏を愛していた成宗だったが、臣下の者たちにいさめられたことも多く、成宗は次第に彼女を遠ざけるようになった。

そんなある日、たまたま尹氏のもとに行った成宗は、彼女が成宗の側室たちを呪い殺そうとしていた事実を知る。怒った成宗は、尹氏を謹慎させた。

ただ、成宗にしても「処罰が厳しすぎたかな」と後悔する面もあり、久しぶりに尹氏をなぐさめようと彼女の部屋を訪ねたのだが、ちょっとしたいさかいがあって成宗は引っかき傷を顔に作る羽目になってしまった。
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2016.11.06