韓国時代劇で一番多く登場するのが、朝鮮(チョソン)王朝時代の国王である。なぜなら、韓国時代劇が扱う時代は朝鮮王朝が多く、さらに、政治や経済の面で絶対的な権力を持っていたのが国王に他ならないからである。国王を登場させないと、どんな歴史も描けないのが朝鮮王朝の実態だった。
仏教を排して儒教を国教に!
1392年に朝鮮王朝を開いたのが李成桂(イ・ソンゲ)だ。諡(おくりな)は太祖(テジョ)である。
彼はすぐに遷都を考えた。それまで高麗(コリョ)王朝の都は朝鮮半島の真ん中にあった開京(ケギョン/現在の開城〔ケソン〕)だったが、旧王朝の勢力を一掃する必要性を感じて、李成桂は新たな都を探した。
側近の学者が風水をもとに詳しく吟味した末に、1394年、開京の南50キロほどの漢陽(ハニャン/現在のソウル)に都が移った。
また、李成桂は仏教を排して儒教を国教にするという大きな改革を断行した。高麗王朝の後期、仏教は国政に大きな影響力を持っていたが、僧侶が腐敗して国力の衰退につながったことを李成桂はつぶさに見ていたからである。
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