「インタビューその1」俳優チュ・ジフン、映画「阿修羅」は男の世界ではなく人間の世界だ

 

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ソンモは、不正を働いている刑事ハン・ドギョン(チョン・ウソン)にとって一番親しい後輩であり、兄弟のように過ごした格別な関係の人物だ。映画の最初からパク・ソンベ(ファン・ジョンミン)の面倒を見て不正を行うドギョンと違い、ソンモはドギョンと予想だにできなかったある事件を経て、パク・ソンベに忠犬となる。ドギョンは、ソンモだけは自分のようになってほしくないと思いながらも、パク・ソンベの厚い信頼を得ていくソンモを警戒するようになる。その過程でソンモとドギョンの関係に亀裂が生じ、二人は神経戦を続ける。ソンモがドギョンを挑発し、しきりに食い違っていく理由についてチュ・ジフンは「ドギョンに対する劣等感、自分に与えられたミッションをまともに遂行できなかった自分自身を恥じることやこじれていく状況に対してのいらだちを感じたためです」と説明した。

「あの状況でさまざまなストレスが爆発するのが、どれほどイライラしたでしょうか。ドギョンとの微妙な感情に対するディテールをすごく悩み、全て考えてみようと思いました。これを男の世界だと言いますが、僕はこれを人間関係だと思ったんです。嫉妬して皮肉ったりもして。人はお互いに間違ってもいないのに、他人がうまくいくのを見て自分の境遇を悲観し、うまくいっていないのを見て相対的な安堵を感じたりするじゃないですか。同時にソンモは“もう一人のドギョン”ではないかと思っています。誇張されていると思われるかもしれませんが、キム・ソンス監督が演出されると、リアルになります。映画『ビート』も現実的に見れば、飛躍している部分があるかもしれません。しかしそれが大事なのではなく、さまよう男の感じ、それ自体だけでも共感できるのではないでしょうか。監督のそんな描き方がとてもよく、興味深く感じました。」

チュ・ジフンのこれまでのフィルモグラフィーを振り返ってみると、映画「キッチン」、「私は王である」、「結婚前夜」などのいくつかの作品を除くと悲劇性が非常に濃い人物を演じてきた。明るい作品に出演してみたいと思わないかという質問に、「そういった作品は多くはなかったですね」とし、「30代になり“今ではなければできない作品があるんだな”と思うようになりました」と答えた。「阿修羅」を通じて聞きたい話は、とても単純だった。「面白かったという話を聞きたいです」ということだ。チュ・ジフンは「いつからだったか、この願いが固定しました」とし、「怖くても、心臓がバクバクしても、面白くても、悲しくても、観客が面白みを感じてくれたらうれしいです。そしてその映画が見てくれた人の人生に特別で面白い映画になってくれたらと思っています」と明かした。

「これからは映画の現場が一番いいですね。2日以上休んだら耐えられないです(笑)。自らではなく、観客や私と共に働く人たちが僕を見つめる観点が変わったと感じた時から、現場が楽になりものすごく好きになりました。そうして愛情を注いだ今回の映画が観客にとって一つの話のネタになってくれたら、それ以上望むことはありません。ご飯を食べたり、お茶を飲んだりしながら映画についてあれこれ話ができたら、それで満足です。『阿修羅』はノワールと違って光が美しい映画です。男同士の義理ではなく、各人物がどうやって感情の変化をしていくのかが描かれているので、他の映画とは差別化されているのではないかと思っています。アクションも軽快さを与えるためのアクションではなく、その時の状況の感情を表現する行為に近いです。俳優が痛ければ観客も痛いものです。感情の伝達が、他のノワール映画とは全く違うんです。」

WOW!korea提供

「インタビューその2」はこちら>>>

2016.10.15