「コラム」〔第3回〕 韓国女性の生き方

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第3回 韓国で女性が結婚することの意味

未婚でいることの大変さ

私は数え年38歳で結婚しました。田舎育ちにしてはとても遅いゴールインでした。小学校の女子同級生の中(30名あまり)では、最後に結婚した老処女(オールドミス)でしたから。

早い人なら高校を卒業してすぐに結婚しますし、遅くとも30代前半にはみんなミセスになっていました。

私は、ソウルで仕事をしていましたが、秋夕(チュソク/お盆)や旧正月に済州島(チェジュド)に帰ると、「結婚しなさい。早くいい人を見つけて!」としつこく言われました。

親はもちろんのこと、親戚や近所のおばさん、おじさんまで押し付けてくるのです。周りの人にどれだけ不憫に思われたことか。どれだけ親の嘆きに悩まされたことか。喧嘩になることさえ多かったです。

母親はこう言いました。

「肩身が狭くて町中を歩けないよ」

「今日結婚して明日離婚してもいいから一度だけ結婚してみて」

「親に言えない身体の故障でもあるのか?」

「結婚しないつもりでいるなら親子の縁を切ろう。これからは帰ってこなくていい」

田舎だけに三十路になっても男の気配のない娘を心配する親の気持ちもわからないわけではないですが、人の目を意識して適当な男としぶしぶ結婚することは到底できませんでした。

結婚とは家に嫁ぐこと

決して独身主義ではありませんが、私はなるべく結婚は遅めにしたかったのです。

なぜかというと、一回きりの人生を自由自在に生きていきたかったからです。稼いだお金で世界に出て、たくさんの人に出会い、韓国にはない自然や文化に触れたり、新しいことにもチャレンジしたかったのです。

また、マンネリになりがちな30代の日々に刺激を与え、独身生活を十分に満喫したいという気持ちもありました。

シングル生活を長く続けたかったもう一つの理由は、正直に言って、韓国社会で嫁として生きていく自信がなかったことです。

女性にとって結婚にはどういう意味があるのでしょうか。

日本では、一人の男性と結婚して自分の家庭を築くという意味が大きいでしょうが、韓国では、夫の家に嫁ぐという意味が大半を占めます。

言い換えれば、妻としての役割より嫁としての役割を求められることが多いと言えるでしょう。名字は変わらないけれど、変わったとき以上の気持ちを求められているような気がします。

「長幼の序」や「親孝行」を重視する儒教社会だけに、とにかく、韓国には冠婚葬祭がとても多いです(最近は縮小されつつありますけど)。

韓国における嫁の立場とは?

旧正月、秋夕、結婚式、葬式、祭祀、還暦の祝い、赤ちゃんの1歳のお祝いなど……。冠婚葬祭が多いせいか、親戚との付き合いがものすごく深いです。みんなが集って、和気あいあいに喋ったり飲んだり食べたりしながら絆を深めていきます。

それはすばらしいことですが、自分の時間をなくしてでも毎回顔を出さなければならないというプレッシャーに、耐えられない束縛を感じていました。ある程度は犠牲的な精神がないと、韓国では暮らしていけません。ましてや、行事の準備をする嫁の立場は大変です。

ただ、プラス面もあります。一人娘で寂しい思いをしながら成長した女性が、大勢の家族がいる長男と結婚してたくさんの親戚と触れ合い、かえって生活が楽しくなったという例もあります。

楽しくやっていれば、義理の両親をはじめ親戚のおばちゃん、おじちゃんにも可愛がられて、それなりのやり甲斐も感じるわけです。

どのように思うかはその人次第です。

日本は韓国とは違い、同じアジアでも親戚との往来があまりないように感じます。韓国人と同じような親戚付き合いをしている家庭も当然あるとは思いますが、なぜか全体的にドライな感じがします。

人に迷惑をかけたくないという思いがそうさせているのでしょうか。韓国人の女性からみれば、ちょっと寂しいなあとも思います。

どちらがいいかというと、たとえば、半々に取り入れた感じがよいでしょうか。遠すぎず近すぎず。年に1回か2回ほど親戚と親睦を深めるのがちょうどいいのでは?

文=スヨン
コラム提供:ロコレ
http://syukakusha.com/

2016.05.22