(連載)第4回/チームワークが大切
リーダーがチームを束ねていく
新兵訓練の最後の関門ともいえる「行軍」を無事に終えると、夜に「お疲れさま」の親睦会が開かれ、みんながお菓子とジュースを大いに堪能する。和気あいあいで、とても楽しい会になる。
このときほど、同期の存在をありがたく思う瞬間は他にないだろう。
それには理由がある。
現代の新兵訓練は昔とかなり様変わりしていて、新しい基準で行なわれている。新兵訓練の特徴を見ていくと、チームワークをとても重視しているのだ。たとえば、個人にはそれぞれ能力の違いがあるので、チーム全体としてどれくらいの成績を挙げられるかが問われる場合が多い。
チームワークを重視することによって、成績が劣る者を周りのチームメイトがカバーしながら向上させるという効果も狙っている。あくまでも戦場においては分隊ごとに動くので、チームワークが大切なのは当然である。
チームの結束力を高めるうえで活躍するのがリーダーである。
リーダーは同期の訓練生たちを束ねて、自主的にいろんな問題に対処していく。それが、人権問題を解決する手段でもある。というのは、常に軍隊ではいじめやしごきといった問題が付きまとっているので、それを解消させるための手段として陸軍はリーダー制度を積極的に取り入れている。
30歳近くになって入隊した韓流スターは新兵の中でも年長なので、リーダーになる割合も高い。
最後の終了式で二等兵になる
新兵訓練で優秀な成績を挙げたチームには、多くの褒美が用意されている。それぞれの訓練は点数によって評価されるのだが、その点数が総合的に上位になるチームには様々な特典があるのだ。
みんなが一番喜ぶのはPXを利用できるということだ。PXとは軍隊の中にある売店のこと。免税扱いなので安くなっている。軍隊の中にあるコンビニと言ってもいい。実際、コンビニに置いてあるものの多くを売っている。
成績優秀なチームが褒美をもらうと、みんなでPXに行ってコーラを飲んだり、お菓子やカップラーメンを食べるなどして、楽しく過ごすことができる。成績が良くないチームの人たちは、それを羨ましく見ているしかない。
また、成績が悪かったチームは、集団でトイレ掃除をさせられるなどの罰を受ける。そのように差をつけることによって、軍隊が実力主義であることが強調される。
さて、「行軍」を無事に終えた新兵たちは、訓練の最後には体力テストを受ける。ここで、訓練期間中にどれだけ体力が向上したかが判定される。めざすは「3キロ走を15分36秒以内」。不合格の新兵もいるが、最初の体力テストよりタイムを縮めていると、相応に努力が認められる。
そして、修了式。新兵訓練を終えた全員の胸に二等兵の階級証が付けられる。
修了式には家族も見学に来ており、その後は家族と過ごす面会時間になる。母親は息子の大好物を持参し、息子も久しぶりの「オフクロの味」を食べまくる。
それが終わると兵士たちは宿舎を整理・清掃して、翌日には配属された部隊にすみやかに移動していく。
(文=康 熙奉〔カン ヒボン〕)
コラム提供:ロコレ
http://syukakusha.com/