
“最高の瞬間はまだ来ていない”…進化する『21世紀のビートルズ』
3年9か月前、「BTS(防弾少年団)」はデビュー9年の軌跡をまとめたアルバムを発表し、“完全体”としての活動に一度の区切りを打った。タイトル曲は『Yet To Come』。K-POP史上類を見ない記録を積み上げた彼らが、その頂点で初めて立ち止まり、自らの内面と向き合った“告白”だった。「最高の瞬間はまだ来ていない」という言葉は、過去の否定ではなく未来への宣言だった。
あれから3年9か月。兵役義務と個々のソロ活動を経て、彼らは再び同じ場所に立つ。カムバックを目前に控えた今、BTSは過去の栄光をなぞる存在ではない。再び時代に問いを投げる存在として戻ってきた。
このグループの13年を貫く物語は、一貫して“アンダードッグ(不利な立場から挑む者)の勝利”にある。
資本力に乏しい中小事務所出身、意味が分かりにくいと冷ややかな視線を向けられることもあったグループ名。それでも彼らは非主流であることを隠さず、むしろそれを自分たちの言葉として提示し続けた。その姿勢が、同じように時代の周縁に立っていた世界中の若者の心と強く結びついた。
BTSの歩みは、単なる成功の軌跡ではない。時代の感情をすくい上げ、それを音楽として提示し続けてきた記録である。
最初は“怒りと抵抗”だった。2013年の『2 COOL 4 SKOOL』から始まる“学校3部作(スクール3部作)”で、「君の夢は何だ」と問い、「NO」と叫ぶ。既存の価値観に対する異議申し立ては、そのまま彼らの存在理由だった。
やがて“青春の揺らぎ”へと移る。2015年の『花様年華』シリーズでは、人生の最も輝く瞬間と、その裏に潜む不安や喪失を同時に描いた。成功の入り口に立ちながらも、揺らぐ感情を隠さなかったことが、より広い共感を生んだ。
“自己受容”の段階では、『LOVE YOURSELF』シリーズを通じて「自分を愛することが出発点」という普遍的なメッセージを提示した。その思想は音楽の枠を越え、国連でのスピーチやグローバルキャンペーンへと広がり、K-POPの枠を超えた存在へと押し上げた。
頂点に立った後も、彼らは内面へと潜る。2019年の『MAP OF THE SOUL』では、ユング心理学をもとに“ペルソナ”“シャドウ”“エゴ”を掘り下げ、自らの成功すらも対象化した。高みに到達した者だけが抱える恐れや不安を可視化したことで、BTSは共感される存在から解釈される存在へと進化した。
パンデミック期には、明確な戦略を取る。『Dynamite』をはじめとする英語楽曲で主流ポップ市場に本格進出し、ビルボード「Hot 100」1位を獲得。ビートルズ以来とされるスピードで記録を更新し、K-POPの代表からグローバルポップの中心へと位置を移した。
しかし、その先にあったのは“告白と停止”だった。『Proof』ではバーンアウトや創作の苦悩を率直に語り、グループ活動に一度の区切りを打つ。「最高の瞬間はまだ来ていない」という言葉は、走り続けてきた者だけが持てる余白でもあった。
そして今、その余白が再び動き出す。
K-POPの地図はすでに塗り替えられた。「SEVENTEEN」や「Stray Kids」が記録を更新し、「BLACKPINK」ROSEのソロ曲がグローバルヒットを記録する。もはやBTSは最初の記録を作る存在ではない。だからこそ、彼らは最高を再定義する存在として立ち戻る。
その答えとして提示されたのが『ARIRANG(アリラン)』だ。
3年9か月ぶりの完全体アルバムには、兵役と個の時間を経た7人の変化が刻み込まれている。世界的プロデューサーが参加する中で、中心に据えられたのはRMが作詞に関わった『Swim』、そしてARIRANGだ。グローバルとローカル、拡張と回帰。その両立こそが、彼らがいま提示する新たな軸である。
BTSはこれまで、時代に寄り添う音楽で世界を動かしてきた。ではこれからは、どんな時代を描くのか。
最初を作ったグループは、最高を更新できるのか。
その答えは、もうすぐ提示される。
WOW!Korea提供









