
「実体のない1人法人」を利用した高所得者の脱税疑惑が相次いで浮上している。最近では「ASTRO」チャウヌやキム・ソンホが、節税の過程で実質的な事業実態のない「1人法人」を設立したのではないかとの疑いで注目を集めた。ただし、税務関係者の間では「同様の構図は芸能界に限らない」との指摘も出ている。
一般に、高所得者が「1人法人」を設立すること自体は節税手法の1つとされる。だが、当該法人に実質的な事業がない、または役務・財の提供が確認されない場合、書類上だけ存在する「ペーパー・カンパニー」と判断される可能性がある。節税のつもりでも、実態次第では脱税とみなされかねないという点が問題の核心だ。
専門家も、適法な節税と制度の趣旨を逸脱した租税回避は明確に区別されるべきだと指摘している。刑事処罰だけが解決策ではない一方、1人法人を巡る疑惑が広がりを見せていることから、調査体制の強化を求める声もある。
1人法人で“半分”節税も…実態が問われるケースも
報道によると、チャウヌは2025年7月、ソウル地方国税庁による税務調査を受け、200億ウォン超(約20億円超)の追徴金通知を受けたとされる。芸能活動の収入を母親名義で設立した法人を通じて受け取っていたとの指摘があり、法人税率の適用が論点になっていると伝えられている。
税務当局は、仁川・江華郡の飲食店住所で登録された法人について、実態の有無などを確認したと報じられた。
また、芸能人の紛争案件を多く扱ってきたノ・ジョンオン弁護士(法務法人ジョンジェ)は報道で「従来の芸能人脱税事例とは状況が異なる」と述べたとされる。法人設立の経緯や運営形態などが争点になっているとの見方を示したという。
同じ所属事務所のキム・ソンホも、家族を役員とする法人を設立していたことが報じられた。芸能活動の精算金を法人を通じて受け取っていたとされ、法人はソウル・ヨンサン(龍山)区の住所で登録されていたという。
一部報道では、法人の運営実態についても言及されている。

キム・ソンホ側は、2024年1月に設立した法人を通じて前所属事務所から約1年間精算を受けていた事実を認めたうえで、法人を廃業し、法人税に加えて個人所得税を追加納付するなどの対応を行ったと説明している。
税率差が生む「グレーゾーン」
こうした疑惑で共通しているのは、法人税を適用するために1人法人を設立し、活動収入の受け皿とする構図だとされる。
総合所得税の最高税率は45%(地方税含め49.5%)とされる一方、法人税率は最高25%(同27.5%)にとどまる。この差は大きく、高所得層にとって法人設立が合理的な選択に映る側面もある。
もっとも、法人が実質的な事業を通じて役務や財を提供していれば適法な節税となり得る。問題となるのは、法人が実質的な営業活動を行わず、収入の受け皿としてのみ機能していると判断される場合だ。
税務業界では、1人法人を通じた税負担の軽減策は芸能人に限らず、一部の高所得層でも見られるとの見解がある。専業投資家などが高額の利子・配当を得る際、法人を設立して金融所得を管理するケースがあるという。
企業税務に詳しい税理士は「法人として実際に営業活動を行い、要件を満たしていれば問題はない」としつつも、「実態が伴わなければ実質課税原則に基づき判断される可能性がある」と指摘する。
過去には、架空取引を装って虚偽の税金計算書を発行し、刑事処分に至った事例も報じられている。
今回の議論は、特定の人物の問題というよりも、「1人法人」という仕組みをどう見極め、どこで線を引くのかという制度運用の問題に広がっている。
節税と脱税の境界はどこにあるのか。
問われているのは個人の是非だけではない。制度の透明性と公平性をどう担保するのかという、税制そのものの設計思想である。
WOW!Korea提供








