「イベントレポ」1,300 万人以上の観客動員を記録!映画『ソウルの春』キム・ソンス監督オンライン舞台挨拶に登場!

そのあとは、観客からの質問に答えるQ&A へ。本作の前後の事件はこれまで映画化されているが、なぜこの事件はずっと映画では描かれてこなかったのかという質問に対しては「この 1979 年 12 月 12 日に起きた“12.12軍事反乱”とよばれている事件は、韓国近現代史において転換点といえる事件です。しかし当時から権力の中枢にいた新軍部の勢力、のちにハナ会は解体されていますが、ずっと長い間韓国で既得権を得て権力を握っていたこともあり、この事件を大衆的な劇映画として扱うことはなかなか難しかったという背景があります。そんな中、本作の製作会社の代表が勇気を持って企画し、私もその勇気に力を得てお引き受けた。だからといって、私たちがとりわけ勇気があったわけではなく、そのような背景があったということも事実だと思います」と回答。

また、もしこのクーデターを防ぐことができていたら韓国の歴史がどうな っていたか、という質問に対しては「この事件に遭遇した私は、そのあと 20 代 30 代となった中でも絶えず“なぜこのようなクーデターが起きたのか、なぜ軍事政権が終わりを告げたのに、また軍部独裁がはじまってしまったのか”と何度も考えました。

このような軍事政権が続くことによって、私の 20 代はずっとデモにあけくれて催涙弾を浴びる羽目になる…そんな状況におかれ、新軍部についてはずっと恨めしい気持ちがありながら生きてきました。しかしこの惨い出来事があったからこそ私たちは抵抗して声をあげてきたわけです。人生の中では悪いこともおきますし、もちろん起きては欲しくないですが、それゆえ、再び二度とこのような悪いことは起きてはならない、という気持ちを強くさせた側面もあったかと思います。こういうことを私たちの歴史で繰り返してはならない、と強く心に誓う、そういう肯定的な側面もあったとも思っています」と実体験を交えた貴重な思いが語られた。

そして「1979 年 12 月 12 日、一人の人間の強い欲、そしてそれに群がった欲望たちが、巨大な一つの塊となり、それが力をあわせ軍事反乱を起こ し、韓国の歴史の流れが大きく変わった。その勢力がまさに生まれた日ともいえる、その日を克明に描いた映画をつくりたかった」とも語ったキム・ソンス監督。

その真摯で熱い思いに必死に耳を傾けていた観客の姿が印象的で、オンライン上で会場の様子がわかる監督は何度も感謝を述べ、「みなさん、ありがとうございます」という日本語の挨拶で締めくくられた。

【STORY】

1979 年 10 月 26 日、独裁者とも言われた大韓民国大統領が、自らの側近に暗殺された。国中に衝撃が走るとともに、民主化を期待する国民の声は日に日に高まってゆく。しかし、暗殺事件の合同捜査本部長に就任したチョン・ドゥグァン保安司令官(ファン・ジョンミン)は、陸軍内の秘密組織“ハナ会”の将校たちを率い、新たな独裁者として君臨すべく、同年 12 月 12 日にクーデターを決行する。一方、高潔な軍人として知られる首都警備司令官イ・テシン(チョン・ウソン)は、部下の中にハナ会のメンバーが潜む圧倒的不利な状況の中、自らの軍人としての信念に基づき“反逆者”チョン・ドゥグァンの暴走を食い止めるべく立ち上がる。

 

監督:キム・ソンス
脚本:ホン・ウォンチャン、イ・ヨンジュン、キム・ソンス
出演:ファン・ジョンミン、チョン・ウソン、イ・ソンミン、パク・ヘジュン、キム・ソンギュン、チョン・マンシク、チョン・ヘイン、イ・ジュニョク
2023 年/韓国/韓国語/142 分/シネマスコープ/5.1ch/字幕翻訳:福留友子/字幕監修:秋月望
原題:서울의 봄(英題:12.12:THE DAY)/G/配給:クロックワークス © 2023 PLUS M ENTERTAINMENT & HIVE MEDIA CORP, ALL RIGHTS RESERVED.
公式 HP:https://klockworx-asia.com/seoul/ 映画公式 X:@19791212theday

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2024.08.14