「取材レポ」イ・ジョンジェ初監督作品映画『ハント』日本公開記念ジャパンプレミアで来日!「大切な日本のファンと日本で会えてとてもうれしいです」

8月31日、東京・T・ジョイ PRINCE 品川にて、9月29日より日本で公開されるイ・ジョンジェ初監督作品「ハント」のジャパンプレミアが開催された。
多くのファンが集まる中、イ・ジョンジェが登場すると大きな歓声と拍手が会場を包み込んだ。日本のファンを前にしたイ・ジョンジェは日本語で「こんばんは」とあいさつし、「日本で私の映画が公開されるのはどれくらいぶりかわからないくらい久しぶりなのですが、再び日本で公開されることになりとても嬉しいです。また日本の美しい観客の皆さんと会うことができて嬉しいです」と笑顔を見せた。


本作は第75回カンヌ国際映画祭ミッドナイトスクリーニング部門で上映され、約7分間のスタンディングオベーションを受けた話題作。映画祭での観客の反応について聞かれると、彼は「映画が始まって、序盤にはアクションシーンがありますよね。そのシーンが終わって、『HUNT』というタイトルが出たのですが、その時に観客の皆さんが大きな歓声と拍手をしてくれました。この作品を作った人たちと観客の皆さんが一緒に呼吸をしている感じがして本当にうれしく思いました」と当時を振り返った。

監督を務めようと思ったきっかけについて、彼は「実は自分でシナリオを書くつもりはありませんでした。優れた作家さんがシナリオを書いてくれることを望んでいましたし、素敵に撮ってくれる監督がシナリオを書いてくれればとも思っていました。ただ、作家さんや素敵な映画を撮ってくださる監督のキャスティングがなかなかうまくいきませんでした。実際に私が訪ねてお願いをしたのですが、みなさんそれぞれ異なる理由からこの作品を引き受けるのは難しいと言われました。その理由は少しずつ違いますが、大多数の監督から『映画化するのは難しい。観客からたくさん愛されるようにするのは難しい』という意見でした。でも私の考えが違ったのは、最近はフェイクニュースも多いですし、誤った信念を持つように、まるでおまじないをかけられるようなそんな言葉も世の中にあふれています。なので、そういった誤った知識や情報をもとに行動を起こしている人々の姿を目にすることもあります。そんな私たちの姿を考えながら映画を作っていきました。この映画の中に登場するピョンホ(イ・ジョンジェ扮)とジョンド(チョン・ウソン扮)もそんな信念を持っていますが、その誤った信念があるがゆえに苦痛がもたらされます。その誤った信念を正そうと努力する男たちの姿を映画で描くことができれば、とても面白い作品になるのではないかと期待を持っていました。なので、自分でシナリオを書いてみようということで書き始めました。そしてシナリオを完成させたのですが、シナリオについては自分自身がよく知っているので、ならば自分で撮ってみようと思い、勇気を出して作品の演出をすることになりました」と明かした。

また、盟友チョン・ウソンとの共演は約24年ぶり。共演をしてみた感想を聞かれると「とても親しい同僚であり親しい友だちであり、今はすぐに隣に住んでいる隣人なのでなかなか複雑です(笑)。チョン・ウソンという俳優は非常にかっこいい俳優でこれまでにもかっこいい映画にもたくさん出演してこられました。今回の映画はチョン・ウソンさんが出演する作品の中で一番かっこいいなと思えるような、また、観客の皆さんにとってもチョン・ウソンさんの作品の中で本当にかっこいいな思っていただけるような作品にしたいと思っていました。どうしたらより正義感にあふれたキャラクターとして見せることができるのか、より迫力のある男として、胸の痛いキャラクターとして余韻を残していけるのか、そんなことを悩みながら、現場でたくさん話し合いながら、ひたすらチョン・ウソンさんをかっこよく撮りたいという一念でこの映画を撮りました」と語った。

本作は80年代の韓国を舞台に描かれ、東京も舞台となっている。撮影は韓国で行われたが、東京を再現するにあたり工夫した点について聞かれると、彼は「実は東京のシーンは日本の地方の小都市で撮ることを計画していました。でも、コロナのせいで撮影を断念せざるをえませんでした。釜山のとある場所で撮ったのですが、交差点のいくつかを車両統制し、車線は韓国と日本は逆じゃないですか。なので、週末に許可をとって道路の車両統制をして、車線を逆方向にして車を走らせました。車は日本から20台ほど持ってきて撮影したのですが、車両統制をする中で銃撃戦の撮影もしましたし、日本から持ってきた車はすべて壊しました(笑)。日本で撮影したら製作費はもっと少なく済んだと思うのですが、韓国で撮影したので製作費が増えてしまい、苦労をして撮りました。日本の観客の皆さんにどんなふうにご覧になっていただけるのかはわかりません。私たちは撮り終えた後に、それなりにそれらしく撮れているんじゃないかなと思ったのですが、日本の皆さんにはぜひ注意深く見ていただければと思います」と撮影エピソードを明かした。

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2023.09.01