「インタビュー」「悪の心を読む者たち」キム・ナムギル「連続殺人魔に対する感情が同化しないように努力した」

■韓国初のプロファイラーで原作小説も手掛けたクォン・イルヨン教授との対談も興味深く拝見しました。役作りにおいてもお話を多く伺ったと思いますが、その中でも一番印象に残ったエピソードがあったら教えてください。
時代が変わり、変化すればするほど、犯罪も変わり、変化するということは事実ですが、連続犯罪である「連続殺人」と「連続性的暴行」、「連続放火」これらの3種の事件の犯罪者たちは時代が変わっても、その中で進化し学習するそうです。そして連続犯罪者たちの、大部分は犯罪の原因を自分自身ではなく、他人や世の中もしくは「他人のせい」にするということです。同じ状況でも健康的で社会的な関係を結んでいて、誠実に生きている人々がもっと多いということを僕たちは忘れてはならないですね。


■感情を抑えた乾いた演技や、共感性が高いが故に徐々に悪に飲み込まれていく姿が印象的でした。ソン・ハヨンを演じるにあたって何か心がけた点や努力した点はありますか?
連続殺人魔に対する感情が同化しないように、犯罪者たちを理解はしてもいいけれど、受け入れはしないこと、事件に対して、客観的な観点で見つめ、事実だけをお見せしようと努力しました。

■キム・ナムギルさんご自身は共感性が高いほうなのでしょうか?
ケースバイケースだと思います。対象、時期、タイミングによって違うので、共感能力は相対的だと思います。

■演じられたソン・ハヨンとご自身との似ている点はありますか?
全ての事件をもう少し客観化して見ようとする部分は似ていると思います。そして、何よりも自分を客観化する気質は似ていると思いました。

■ハヨンをプロファイラーとしてスカウトしたクク・ヨンスを演じた、チン・ソンギュさんと共演されていかがでしたか?メイキングではすごく楽しそうでしたが…。
チン・ソンギュさんとは息がとてもよく合いました。以前、少しだけある作品で共演したことがあります。演技もお上手ですし、素敵な人柄の俳優です。一喜一憂せず、いつもひたむきな姿勢で作品に臨む俳優だと思います。現場では明るいエネルギーで現場を楽しい雰囲気にしてくれるんです。

■ご自身のシーンで、一番気に入っているシーンと、その理由を教えてください。
ソン・ハヨンがク・ヨンチュンとの接見後に、苦しみながら「なぜ、俺を?」と聞くシーンがあります。ソン・ハヨンにとって一番人間的なセリフだと思いました。ソン・ハヨンも犯罪者もみんな人間です。机一つを間に置いて、刑事と犯罪者としてではなく、面談者と被面談者として会わなければならない本人の存在の本質に対する苦悩が込められたセリフだと思います。
この一文が、ソン・ハヨンが「プロファイラー ソン・ハヨン」として生きて行く自分の誓いだと考えました。
また、ソン・ハヨン役を演技する僕にとっても最後の撮影まで途切れることなく投げかけた質問でした。「なぜ、俺を?」暮らしながら遭遇する全ての物事は本人の意思で選択し、決定することが生活であり人生であると思います。そんな側面から犯罪者も同じように自身の意思で起こす事件であるため、このシーンが、これら全てのことに通ずるメッセージではないかと思っています。

■本作はキム・ナムギルさんにとってどんな作品になりましたか?
「悪の心を読む者たち」はある意味、大衆的ではなく興行性がないものをテーマにしている作品ともいえます。けれど、このような作品もうまく制作されれば認められるということが確認されましたし、自信にもなった作品として残ったことがうれしいです。俳優として少しだけ成熟した演技をお見せできたように思い、さらに意味深いものになりました。

■本作の見所を教えてください。
「悪の心を読む者たち」出演俳優たちの演技に集中して見ると、さらに魅力的な作品として見ることができます。同じ時代を生きる視聴者たちも現実で犯罪に直面した時、どう対処しなければならないか、一度考えてみるきっかけになる作品でもあります。そして僕たちが世の中を、人をもう少し温かい視線で見つめてあげられたら、こんな極端な状況まで追い詰めることなく、穏やかになれるのかと、口火を切る作品として余韻を残すことができると思います。

■近頃はまっていることはありますか?
良い作品を探すことに時間の多くを過ごしています。これが趣味というよりは、今後僕がどんな作品に出演するか、すごく悩んでいます。

■日本のファンの皆さんにメッセージをお願いします。
以前のようにこれからは日本に行って皆さんとお会いしたいですし、また、韓国でも良い作品と良い演技を通して皆さんにお会いできたらと思います。この時代を一緒によりよく生きて行くためにいつも健康で幸せでいてくれたらうれしいです。



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WOW!Korea提供

2023.03.14