<W解説>サムスン電子会長に卵を投げつけた韓国人女優、動機は?


韓国のサムスン電子のイ・ジェヨン(李在鎔)会長が1日、公判に出廷するためソウル市内の裁判所を訪れた際、卵を投げつけられる一幕があった。卵は李氏には当たらず、けが人はいない。卵を投げたのは女優でタレントのイ・メリ氏(50)であることが分かった。

聯合ニュースによると、この日午前9時半過ぎ、李会長がソウル市内の裁判所創業庁舎の西門前で車を降り、庁舎に向かって歩き出したところ、左側から李会長に向けて生卵1個が投げつけられたという。すぐさま警備員らが李会長を保護した。卵は李会長には当たらなかったが、李会長は驚いた様子を見せた。

李会長をめぐっては、サムスングループのサムスン物産が繊維会社と合併した際、李会長への安定的な経営権の引継ぎを図るため、両社の株価を人為的に操作したとして、2020年9月に起訴された。この事件の公判は現在も続いている。

李氏は今年10月にサムスン電子の会長に昇格した。会長のポストは父親のイ・ゴンヒ(李健熙)氏が2020年10月に死去して以来、空席になっていた。李会長は創業者の孫で、1991年にサムスン電子に入社して以来、31年目にして会長に就任した。韓国では、現代自動車やSK、ロッテなど国を代表する企業で創業者の子孫が会長に就いているが、2012年にサムスン電子副会長となった在鎔氏は父親の健熙会長が2020年10月に死去して以降も実質的な経営トップでありながら、肩書は副会長であり続けた。これまで韓国の主要5大グループのトップで「会長」の肩書を持っていないのは李氏だけだった。

しかし、李氏の公判が続いているため、同社から李氏の会長昇格が発表された10月27日、李氏自らが会長就任にあたっての抱負を語ったのは裁判所の前だった。これに、韓国紙の朝鮮日報は当時「会長として第一歩を踏み出した場所が裁判所だった点は、李会長をめぐる司法リスクが依然として解消されていないことを示している」と伝えた。

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2022.12.06