韓国政府は30日から今月5日までを「国家哀悼期間」とすることを明らかにした。また、事故が起きたソウル市ヨンサン(龍山)区を特別災難(災害)地域に指定した。期間中、すべての公共機関で半旗が掲げられる。ソウル市内各所には合同焼香所が設けられる。また、公的なイベントは急を要しない場合、延期の措置が取られるという。
また、ソウル近郊のキョンギド(京畿道)では、道内31市郡に対し、各種イベントや祭りの自粛を呼びかけた。また、やむを得ず開催する場合には、安全計画を樹立し、管理を徹底するよう求めた。また、キム・ドンヨン知事はこの後もクリスマスや年越しなどで関連するイベントも多く控えることから、徹底した安全対策の必要性を指摘した。
今回の事故が起きたソウル市ヨンサン(龍山)区は、3年ぶりに行動制限がなく迎えるハロウィーンを前にした週末ということで、27日には緊急対策会議を開き、準備はしていた。しかし、結果的に大規模な事故が発生してしまった。事故が起きた梨泰院はソウル中央部にある繁華街として知られ、各国の大使館なども立ち並ぶエリア。かつて、米軍の駐屯地があったことから外国の文化が集まりやすい場所で、外国人の姿も多くみられる。日本人にも人気のスポットだ。もともとハロウィーンやクリスマスの時期に多くのイベントが開かれる場所としても有名だった。
一方、路地裏など、狭い道が点在する場所でもあり、事故が起きた通りも幅3~4メートルほどの細い坂道。当時、通りは多くの人ですし詰め状態となっており、一部の人が倒れたことを機に「群衆雪崩」が発生し、大惨事を引き起こした。
韓国では今春から規制を緩める「ウィズコロナ」にかじを切り、梨泰院も客足が戻っていた。しかし、今回の事故を受けて韓国は国全体が悲しみに暮れており、各種イベントなどは次々と延期・中止となって、一転暗い雰囲気に包まれている。