「コラム」康熙奉(カン・ヒボン)のオンジェナ韓流Vol.232「韓国の三大テレビ局」

韓国で制作されるドラマの本数は世界でトップレベルだ。「世界で一番多くのドラマが作られるのが韓国」と言っても過言ではない。それだけ本数が多いのは、ドラマ好きな国民性が関係している。韓国ではドラマを好んで見る人がとても多いので、需要に合わせて各テレビ局には新作ドラマを放送する枠があるのだ。

MBCは政府が出資して民間で運営するテレビ局だ

放送局の変遷

韓国において、視聴者が多い地上波の3大テレビ局がKBS、MBC、SBSである。
わかりやすく言えば、KBSは公共放送、MBCは政府が出資して民間で運営する半官半民、SBSは完全な民間放送だ。
まず、KBSから。
1961年にテレビ放送を開始し、1973年に特殊法人として公社化されている。
MBCは1969年からテレビ放送を開始しているが、当初は民間放送だった。しかし、後に政府の介入を受けるようになった。
実は、1970年代までは民間のTBC(東洋放送)があった。その頃は、KBS、MBC、TBCが3大テレビ局だった。
しかし、1980年に軍事政権が言論を統制するという強硬な政策を行ない、TBCはKBSに完全に吸収されてしまった。また、MBCも株式を軍事政権に抑えられて政府の干渉を受けるようになった。
まさに当時は「テレビ局にとって受難の時代」であった。

民間放送の誕生

韓国では、1987年に民主化が実現して、軍事政権が終わった。それにともなって、言論の自由が保障されるようになった。
1990年に放送法が変わって民間放送が開局できるようになり、同年にSBSが誕生した。それから、公共放送のKBS、半官半民のMBC、民間のSBSという3大テレビ局の並立体制となった。
それでも、軍事政権時代の名残がある。というのは、KBSは「KBS1」と「KBS2」の2チャンネル構成になっているが、それは、1980年にTBCを吸収した影響なのだ。それゆえ、「KBS2」は公共放送でありながらCM放送が実施されている。
なお、韓国の放送局は原則的に番組の途中にCMを入れない。その分、CMは番組の最初と最後に集中的に入れるようになっている。ドラマの放送時も同様だ。
制作側は、CM挿入を想定して各場面を調整する必要がないので、韓国のドラマはテンポよくストーリーをつなげることができるのだ。

文=康 熙奉(カン・ヒボン)

2022.09.10