「コラム」康熙奉(カン・ヒボン)のオンジェナ韓流Vol.231「『還魂』の衝撃」

今や韓国ドラマはここまで作るんだ……と正直に驚いている。時空を超えた壮大なストーリー、先進のCG技術を駆使した映像、人間の肉体と魂を入れ替える発想の大胆さ。今までの常識を超えたところから『還魂』は始まっている。

画像=tvN

還魂術とは何か

Netflixでも配信されているドラマ『還魂』の舞台は大湖(テホ)国である。
この国が存在した場所も時代も明らかにされていない。ただし、人間の肉体と魂を入れ替える「還魂術」によって運命を変えられていく人々が住む国が大湖国なのである。
この国で一番の術士がチャン・ガン(チュ・サンウク)なのだが、彼は死期が近い国王に禁断の「還魂術」を強要されてしまう。そして、チャン・ガンは生まれたばかりの息子チャン・ウクの気門をすべて封じて姿を消してしまう。
時がながれ、成長したチャン・ウク(イ・ジェウク)は気門を開けてくれる師匠を探すのだが、望み通りの師匠はいなかった。
しかし、ついに見つけた……それが、目の輝きがずば抜けていたムドク(チョン・ソミン)であった。
彼女も単純な女性ではない。実は、刺客のナクスが命を終える前に魂を移した特別な存在だった。ところが、肉体が力不足であり、自分を強くしてくれる相手が必要だった。

ドラマを楽しむ魂が刺激される

チャン・ウクとムドクはお互いに利用できる相手を見つけた。そして、未知の世界に一歩踏み出していく……。
この2人に関わってくるのが、大湖国の名家のエリートたちだ。
もともと、チャン・ウクは優れた術士を生み出してきたチャン家の若主人だ。彼の他には、パク家のパク・ダング(ユ・インス)、ソ家のソ・ユル(ファン・ミンヒョン)、チン家のチン・チョヨン(アリン)がいて、以上の4人が「天下四季」というキャッチフレーズで称賛される若き達人たちだった。
さらに、ムドクが加わり、『還魂』の主要キャラが勢ぞろいした。
ドラマは、ドキドキするような迫力映像の連続によって「還魂術」をめぐる争いが繰り広げられていく。
とはいえ、緊張感だけではない。チャン・ウクとムドクの緩んだやり取りも随所に見られて、柔らかい感性も発揮されている。
まさに、見れば見るほど韓国ドラマを楽しむ魂が刺激されるのが『還魂』である。

文=康 熙奉(カン・ヒボン)

2022.09.03