この作品に出演を決めた一番大きな理由は何ですか? 難しい役で、なかなかすぐには決められなかったかとも思いますが、役柄のどんな部分に惹かれましたか? また、台本を初めて読んだ時、どんな印象を受けましたか?
ナムグン・ミン:私が出演作を選ぶ基準は、「自分がやりたいかどうか」ということです。これを、もう少し具体的に言葉にすると、「試み」と「挑戦」だと言えるでしょう。「黒い太陽」の台本を初めて読んだ時、巨大なスケールを感じました。果たしてその巨大さを画面で表現できるのか、 それが可能なら、どんな絵作りになるのか気になりました。私はそれを試み、挑戦し、完成させたいと思いました。
役作りのために8か月間、17キロ増量されたという記事を見ました。普段から運動もたくさんされていると思いますが、この8か月間は、どんな生活をされていましたか? そして最も大変だったのは何でしたか?
ナムグン・ミン:本読み、アクションと銃器の練習、ウエイトトレーニング、食事、睡眠。このルーティーンの繰り返しでしたね。大変だったのは、心理的に鋭敏な感覚を持っているジヒョクの感情表現を維持しながら、撮影中はアクションと並行してそれを表現しなければならなかったことです。精神的にも肉体的にも非常に大変でした。
ハン・ジヒョクという人物は、想像できないほど過酷な経験をしたうえに、記憶すら失った状態です。こんなジヒョクの感情をどう理解し、アプローチされましたか?
ナムグン・ミン:ハン・ジヒョクはこの1年間の記憶を失ったまま、裏切り者がいる国家情報院に復帰しました。記憶を失ったために、自分自身さえ疑わねばならない辛い立場にいる人物です。人を信じられないため、つねに不安であり、周囲に鋭敏に反応します。演技では、特定の対象や感情を念頭に置かず、台本を何度も読んで、人間ハン・ジヒョクについて理解し、ありのまま受け入れるよう努力しました。そのお陰で、自分の持つ信念や目的を何としても守り抜こうとする、とても意志の強い人物であることを自然に体得できました。
国家情報院の最高のエージェントという役を演じるために、どんな準備をしましたか? 今回の作品を通して、国情院やその要員たちの仕事について新しく知ったことはありますか?
ナムグン・ミン:国情院を象徴する報国塔(殉職した職員を祀る塔)がドラマで描かれたのは、「黒い太陽」が初めてだと聞きました。国情院の積極的な支援のおかげで、ドラマの完成度が高くなったと思います。私もまた、国情院の現場要員という、気軽に向き合うことも経験することもできないキャラクターを演じることで、国情院の国民に対する献身と苦労を感じることができました。
アクションシーンのため、どんな準備をされましたか? 密航船の中で繰り広げられるアクションシーンやペントハウスでの死闘が特に印象的でしたが、撮影は大変でしたか? アクション関連のエピソードがありましたらお聞かせください。
ナムグン・ミン:劇中のジヒョクは、屈強な男性でも数人程度なら素手で簡単に制圧できる、国情院最高の現場要員です。強靭で野獣のようなフィジカルが必要だと思いました。そのため、1日3時間以上ウエイトトレーニングをし、撮影に入っても運動を続けなければならずとても大変でした。「撮影が始まるまでに体を作ることができるだろうか?」というプレッシャーから悪夢にうなされたこともあります。ジヒョクが初めて登場する密航船のシーンの撮影が終わって、やっとその圧迫感から逃れることができました。
その他、撮影していて大変だった部分、完成した映像を見て満足した場面、個人的に特に印象に残る場面などがありましたら教えてください。
ナムグン・ミン:ハン・ジヒョクという人物の持つ超人的な能力を考える時、強靭な身体がまず基本でした。 私は以前からずっと運動をしていたので、体をバルクアップするのは簡単だと思っていました。しかし実際に運動を始めて1か月半ほどは体に大きな変化がなかったため、心理的にかなり追いつめられました。とりわけ、ジヒョクが初めて登場するシーンは、ジヒョクのキャラクターを一挙に見せなければならない重要なシーンだったのでなおさらです。主人公が、自分のキャラクターをどこまで準備してきたかは、ドラマチーム全体の士気にもかかわるので、もう必死でした。撮影日に服を脱いだら、体に筋肉が1つもないという悪夢まで見ました(笑)。幸い、ある時点から止まっていた体重も増え始め、初登場のシーンを迎えました。ジヒョクの持つオーラがモニターによく表現されたようで、これまでの努力が報われたと感じました。今でも一番記憶に残っているシーンですね。
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